酒やめて、1223日。
世間に漕ぎ出す勇気が湧いてこないとき
酒を飲んだ後の朝の、もう全部持っていかれちゃった感は半端なかったです。自分という人間が本当に空っぽになったような気がしたものでした。これは、医学的にはセロトニンがまったく生成できてないということになるのでしょうが(参考「アルコールと脳内物質の関係を、断酒モチベーションを高めることを念頭にざっくりまとめてみた!」)、まあそんなふうに説明されても何の解決にもならず、とにかく陰々滅滅としていました。
単に二日酔いが辛いとかそういうことだけではないのです。鬱というものの本当の怖さは知りませんが、やはり鬱状態だったと思います。
そしてベッドの中で恐る恐る昨日やっちまったであろうことを必死で思い出してみます。思い出せません。多分やっちまっていたのでしょう。
そしてさらに恐る恐る今日やらなければいけないことを考えます。
そうするとですね、もう一つや二つ、絶対にやりたくないことが出てくるのですよ。たぶんそれは、普通の状態であればどおってことない事柄のような気もします。そして多くの場合、それは人に会うことです。人に会って話をするテンションがまったく上がってこないというか、どうしてもそれを精神が拒否するのです。
犬を飼ったことがある方ならご経験があるかと思いますが、散歩させている途中、突如犬が、なんの理由もなく動かなくなることがあるじゃないですか。リードを引っ張っても踏ん張って、頑としてここから動かないという意思を見せます。ちょうどそれに似ています。
仕事ですから、安穏としたベッドの中から抜け出して、荒波に漕ぎ出さなければいけない。でも繰り返しますが、それを頑として精神が拒絶します。
酒さえ飲めば、とせつに思いました
その時に私の頭の中に像を結ぶものがありました。缶ビールですね。あるいはストロングゼロだったりもします。それを飲みさえすれば俺は外に出ることができる、その勇気が湧いてくる。そのように確信してふらふらと冷蔵庫のほうに歩いて行こうとし、実際に飲んだこともありました。
その時に思ったのです。こりゃ酒やめなければ遠からず破滅するなと。
朝、駅に行く道すがら、缶ビール(らしきもの。隠しているのでわからない。が、元アル中にはわかるw)を飲みながら歩いているネクタイしめたサラリーマン、さらにはOLも何度か見たことがありますが、彼ら彼女らもたぶんそのパターンでしょうね。
元アル中同士として、そういう人にはシンパシティを感じてしまうのです。というのは、物事に真面目に対処しようと思えば思うほど、酒を飲まなきゃやってられないという側面は確かにあるからです(参考「物事に真面目に対処しようとすればするほど、酒にとらえられてしまう罠」)。
でも今は、非常にコンプライアンスが厳しい時代ですから、その辺のアル中の機微(?)は分かってもらえないので、やはり酒やめたほうが得策だったりします。
さて私の場合、酒やめてから、不思議なことにというか予定通りというか、朝起きて今日やることを考えても(昨日やらかしたことを考えることは当然ながらなくなりました)、「どうしてもやりたくない」ってことがなくなったのですね。まあ、もちろんやりたくないことはありますよ。でも、それをやることを自分の精神が頑として受け付けないという感じはまったくなくなりました。やりたくないけどやらなきゃしょうがねえからやろうかな、てな感じです。朝起きた段階で、ある程度、テンションが上がっているのです。
普通の人には普通のことでしょうが、元アル中としては、これはやはり大きな収穫だったと思います。いつも書いてることですが、世の中そんなに悪くないぞ、ついでに自分も悪くないぞと思えるようになるのです。