酒による「ねばならない脳」に同調圧力が加わると、かなり強力な人生破壊兵器になるという件。

酒やめて、1140日。

以前も書きましたが(参考「酒による「こうでなくてはならない脳」は、子どもの人生にも悪影響を与えてしまうのか」)、長年の飲酒習慣は、脳を「ねばならない脳」に変容させます。アル中的な飲み方でなくても、飲酒習慣が重なると、性格として執着心が強くなり、一つのことに異常にこだわるようになってしまうのです。

もちろん私の場合もそうでした。たぶんもともとそうした素質があり、それが酒によっていっそう強化(?)されてしまったという感じです。

ファッションにも「ねばならない」があった!?

私の場合の「素質」は、アイビーファッション(懐)というものが一つのきっかけになっていたように思います。アイビーファッションは、今の人には想像がつかないかもしれませんが、非常に規制が多いスタイルです。ルールがかっちり決まっているのですね。それを制定(?)したのはVANと雑誌のメンズクラブだと言われています。

流行していた当時は、それこそファッションにおける「ねばならない」が横行していました。たとえば、スラックスのお尻には尾錠がついてなければならないとか、VANのスラックスにはリーガルのウィングチップを合わせなければならないとか、ブレザーやジャケットはずん胴型じゃなければならない(今考えると信じられないですね!)とか、そのブレザーの胸ポケットは貼り付け型じゃなければならないとか、さらにコーディネートに関しては、これも今や信じられませんが、レジメンタルタイにストライプなどの柄のシャツを合わせてはならないといったことです。

で、確かアイビーの大家のような方が、そうしたアイビーのルールは日本人の性格に合っていた、だから受け入れられたんだということをおっしゃってました。これは定見だと思います。

アイビーファッション(笑)

もちろんここでの「ねばならない」は、洋服の着こなしの基本ルールを当時の日本の若者に浸透させたという点で、大きな功績があったと思います。ただ私の場合は、やはり「ねばならない脳」の形成にひと役買ってしまったような気がします(笑)。まあ他人のせいにしちゃいけないんですけど、ただそういうものが原点にあったと。そしてそれが酒によって深化したという構図です。

キャンプ場では、アルファードにゴールデンレトリバー!?

ここに同調圧力という、私たちの世代における人生における「ねばならない」が加わります。

たとえば大学進学であれば国立大でなければならないとか早慶でなければならないとか、そういうことです。

ただし進学に関しては、私は頭の性能がまったくもってよろしくなかったので、親もたぶんあきらめていたのでしょう、そういうことを言わなかったので助かりました(笑)。私の親が進学に際して制定したルールは「文学部と芸術学部でなければいい」だけで、その辺はありがたかったと思いますね。

さて、そうこうしてるうちに、就職し結婚するわけですけれども、家族を持つということについては「ねばならない脳」×同調圧力がやっぱりありました。自分としての「ねばならない」は、一軒家に住んでRV車を持って犬飼って時々キャンプに行って子どもにはラルフローレンを着せて私立の中高一貫校に入れる……、みたいな、今考えると実に俗で愚かしいことです。同時にそれは世間様並みの幸せであり、同調圧力と言えます。まさに「×」状態でした。

あるときオートキャンプの記事を書いている方から、「オートキャンプ場では、アルファードにゴールデンレトリバー乗せてるとポジション高いですよ」みたいな話を聞き、あーいいですねーとまったく俗な憧れを抱いたりもしてました。これも「ねばならない脳」が同調圧力に共鳴した一局面でしょう。

そして我が家の場合、私が酒を飲んでいたこともあり、酒によって増幅された「ねばならない脳」が家族のかたちに固執したが故におかしな方向に行ってしまったのでは、と今、反省&後悔しています。まあ詳しいことは家族の恥になるので書けないのですが。

そして酒をやめた今、「ねばならない」が自分のなかからすっと消えているのが分かります。同調圧力も気にならなくなりました。もともと自分は結婚したり家族を持ったりということに向いていたのだろうか、ということも考えるようになりました。

ここまで書き連ねてきたのはあくまでも私の例で、もちろんどなたにも当てはまるものではありませんが、ただ酒による「ねばならない脳」が同調圧力と遭遇すると、かなりの破壊力を持つということは覚えておいたほうがよいと思われます。

いつも書いていることですが、若いうちにそうした酒の弊害に気づき引き返せる人、引き返す可能性がある人が本当にうらやましいです。

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