酒やめて、1732日。
日本人の悲観メンタリティは、悪いことばかりじゃない!?
酒を飲んだ翌朝、正確に言えば深酒した翌朝、絶望的な気分になることは、アル中アル依ならずとも、多くの人が経験していると思います。これはアルコールを分解するために肝臓の働きが手一杯になり、幸せ脳内物質であるセロトニンを生成する(物質を生成する)ことができないからだといいます。
まあ実際、あの状態は非常に辛いもので、世の中に出ていく勇気がまったくなくなり、その勇気をもらうために酒を飲みたくなります。
さて、このセロトニンという物質に着目するとき、セロトニンの運搬遺伝子には伝達能力が高いL型と低いS型があり、この二つの組み合わせでLL型、LS型、SS型が存在しているというのですね。そして日本人は七割がSS型であると。つまりセロトニンの伝達能力が低いがために、民族として悲観的であり、うつ病なども多いそうなのです。
ただし、悪いことだけではなく、将来的な不安に備えようというメンタリティが日本人を計画的で勤勉にし、今のような先進国に押し上げたという側面もあると説明されます。
で、このようなことに加え、以前も書きましたけれども、日本は長らく、川などの水がそのまま飲める世界でも非常に珍しい国土風土でした。したがって日本人は水分補給に、果漿を保存のために発酵させたもの――ワインの類を必要とせず、つまりアルコールによるほろ酔い状態に邪魔されることなく働けました。それが日本の(国土条件のわりには)生産性の高い産業構造をもたらした側面もまたあると思います(参考「日本人が勤勉である理由は「水」にあった?」)。
世界一酒によって鬱になりやすい民族にもたらされる悲劇とは!?
けれどもここにきてその大前提が崩れようとしていますよね。失われた30年の物価停滞によって、さらに加えて日本特有の技術開発力の高さによって、たとえばストロングゼロのようなめちゃコスパいい、しかも気軽に飲める酒が開発されヒットしていたりします。つまり、世界一手軽に酒と付き合える状況が現出しているわけですよ。
その一方で、先に記したセロトニンの伝達遺伝子の運搬能力が低いこと、つまり悲観メンタリティはそのままです。酒を飲むと鬱になりやすい民族が、酒と非常に手軽にお近づきになれる社会にいるわけですよ。
そこへもってきて、繰り返しますが、酒によるセロトニンの欠乏は、もうほんとに辛くて、自分に勇気を与えるのにますます酒が飲みたくなるという構造があります。
ですから余計なお世話ながら、酒と付き合うにあたっては、自分が日本人であるという特性を理解しておく必要があると思いますし、それを自覚すれば、酒をやめやすいのではないかと。