酒さんが、飲酒者をして「俺すげ~」にしてしまうメカニズムとは?

酒やめて、1904日。

「大谷スゲー→俺スゲー」でいいじゃないですか!

開幕から不調のようだった大谷翔平選手ですが、さすがにここにきて本領発揮しています。そうすると必ず出てくるのがあの議論です。大谷がすごいからってお前がすごいんじゃないからねー、というやつですねー。これはネット上ではシャレのように語られているのに、本気で言ったりする人もいたりするので鼻白んでしまいます。

と、話が前後しましたが知らない方のために一応言及しておくと、「大谷スゲー→日本人スゲー→日本人であるところの俺スゲー」という理屈は成り立ちませんからねーということらしいのです。それを本気で言うコメンテーターなどは、日本人スゲーにどーしてもしたくないのでしょう。そういうイデオロギーがあるのでしょうね。

でも、ですね、私はこれ、つまり「大谷スゲー→日本人スゲー→日本人であるところの俺スゲー」を主張してもいいと思うんですよ。なぜならば、もちろんご本人の資質と努力に拠る部分が大きいにせよ、日本の部活動や日本的な親子関係も現在の大谷選手をかたちづくったと言ってもいいわけじゃないですか。とすれば、そうした日本的なるものの恩恵を我々だって受けているのだから、「大谷スゲー」と「俺スゲー」の関連性はちょびっとはあると思うのです。

これはたとえばアイルトン・セナのことを考えてみると明らかです。セナだってもちろん本人の才能や努力、セナ独自の育ってきた環境があって、あのような不世出のF1パイロットになったわけですが、ただやっぱり、セナという才能はブラジル的風土からしか出てこないと断言できそうじゃないですか。ということは、ブラジル人が、セナと同じブラジル人であるところの俺スゲーと主張したって全然問題ないでしょうし、たぶんブラジルではそういうふうに肯定的にとらえられているんじゃないでしょうか。よく知りませんが。

「俺は飲んでいい人間だ」が「俺スゲー」になってしまう!?

で、本題ですが、「俺スゲー」と言わせてしまうのは酒さんもそうなんですね。こっちは大谷さんやセナさんと違って悪い意味で「俺スゲー」になります。

またぞろ『上を向いてアルコール』を引用して恐縮ですが、こんな一節があります。

実際アルコールで頭おかしくなって全然引き返せなくなった人たちの中には、オレは必ず成功する、みんなオレの実力を知らない、そういう自己肥大妄想に浸っている人たちがけっこういます。

いや、これはわかる~ですね。そうなのですよ、「アルコールで頭おかしくなって全然引き返せなくなった」まで行かなくても、普通に飲み過ぎ程度の人でも、こういう人結構いますよ。私の周りには。

と、そういうふうに言うとまったく余計なお世話ですけれども、それがそうでもないのです。

自己肥大な人の中には、お前は一生飲めないけど俺は飲めるとことさらにアピールする人がいます。だから私もある意味「被害者」なので、必ずしも「余計なお世話」ではないのです(`・∀・´)

で、「俺は飲める」には、「俺は飲んでもいい人間だ」→「俺は特別な人間だ」が透けて見えるのですよ。そうすると、「俺は特別な人間だ」は、酒以外の分野での「俺スゲー」になり、いろんなところで顔を出して、周囲を鼻白ませる、というわけです。

とまあ他人事のようですが、私だって飲酒時代はそうだったやもしれず、小田嶋さんも以下のように記しているので油断なりません。ジジイとなればなおさらです。

断酒中のアルコホリックでさえ、比較的自慢話というか自己肥大な感じの話題が多い。

自戒自戒、メタ認知メタ認知、ですね。

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