酒やめて、3050日
昔の自分を突き付けられて嫌なのですよ
私の家にはアンテナがないのでテレビ地上波放送を視ることはできないのですが、ネット経由でABEMAやYouTubeを視たりはします。なのでコマーシャルは目に入ってきます。
ネット番組のコマーシャルは、いわゆるターゲッティングになっているそうで、だからなぜ、とも思いますが、酒のコマーシャルも普通に流れます。その中でちょっと気になるのが「サントリー生」缶ビールのものです。
山崎賢人さんが、焼肉を食べよう、生ビールを飲もうとすると、西島秀俊さんが「ちょっと待ってください!」と仕切るやつですね。「生奉行編」というそうです。
私は、逢坂剛先生の大ファンなのは人後に落ちないつもりであり、したがって『MOZU』シリーズのファンでもあるので(一番好きなのは岡坂神策シリーズだが)、西沢秀俊さんも大好きな役者さんですが、しかし、この「待って」にはいらっとくるのですよ。
勝手にいらっとしていて、なぜかを説明するのも独りよがりではありますが、まあ個人ブログなんてそんなもんなのでお許しいただくとして、なんというか飲む瞬間を「至上の価値」として捉えているのが嫌なのですね。
もとよりそれは映し鏡のようなもので、以前は自分もそうだったからであり、昔の自分を見せられているようだから嫌、という、はなはだ身勝手な理屈によるものであります。どうもすみません。
「飲む瞬間のために生きる」のはもったいないですよ
逆に酒をやめた今となっては、飲む瞬間なんて「生奉行」に仕切ってもらうような大層なもんか、と思ってしまうのですよ。
しかし、飲んでた時代はほんとに輝く時であり、最高のタイミングで飲むことに命を懸けていました。
その辺のことは、以前も書かせていただいておりますし、このブログでも度々触れてますが(参考「飲んでいないときは土のなかのセミ? そんな状態はもうゴメンです」)、そうした価値観を持ってしまうと、それが絶対であるがゆえに、他のことがつまらなくなるわけですよね。
なんというんですかね、人生全体が
have been longing
てな心持ちになってしまう。
でも考えてみれば、これって馬鹿馬鹿しい話ではあります。
「ぐびぐびぐひっぷはーっ! 生きててよかったああああ!」とは、私もよく叫んで(?)ましたが、その黄金の時のために生きるのは、裏を返せば、それ以外の時間がつまらない、自分でつまらなくしているってことですからね。
で、そのような思いが進行すると、すべての時間を「黄金の時」にしたくてアル中になるという寸法です。
そこまで行かなくても、一瞬の「黄金の時」のために、おおげさに言えば人生を犠牲にするのはもったいないですよ。そうしたことが、酒やめてようやくわかった次第であります。なので、冒頭のコマーシャルに勝手にいらっとしてしまう、と。
原則として火曜日と金曜日の19時に更新しています。
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