酒やめて、1420日。
生類憐みの令とベティ・フォードケース
人間の歴史には人々の価値観がパッと変わる瞬間があって、日本史の場合「生類憐みの令」が一つの例として有名です。
このことについては、このブログでも取り上げたことあります(参考「徳川綱吉がやったことは今の時代でもできる!? なにしろ日本人はパラダイム転換大好きだから」)。
従来、天下の悪法と言われていた生類憐みの令ですが、ただ、これをきっかけに、戦国の遺風が残る、辻斬りなどが当たり前のような世の中から、虫いっぴき殺しても罪に問われる平和な世の中になったという再評価もあるようです(井沢元彦氏の著作による)。極端な法令によって価値観を一変させた例ですよね。
で、飲酒業界というかアル中業界(?)にもそのターニングポイントがあって、アメリカのベティ・フォードケースと呼ばれるものがそれです。当時(1978年)、大統領夫人だったベティ・フォードさんがアルコール依存症であることをカミングアウトし治療受けたことで、アメリカの人々の価値観が一変したというのですね。
これ以降、アメリカ社会では、アル中、アルコール依存症であることは決して恥ずかしいことではなく、その治療を受け、そこから立ち直るのはむしろ誇らしいことであるというふうに世の中の価値観が一変したのです。早く日本もそうなればいいと思いますよ。
いや実際、メジャーリーグ中継などを見ていても「〇〇選手は今アルコール依存症治療のために欠場しています」みたいなアナウンスが普通にあります。日本的価値観では驚いてしまいますが、やがて日本の会社でも「ちょっと自助会行ってくるので抜けま~す」みたいなことになるかもしれません。
繰り返しますがアメリカだと、アル中やアルコール依存症が恥ずかしくないばかりか、そこから立ち直ると賞賛を受けるというのだから、我々アル中→断酒者にとっては夢のような世界です(笑)。
ただ、そこまでいかなくても、つまり他人が認めてくれなくても、自分を自分で認められるという点が、断酒のものすご~くいいところだと思いますね。何度も書いていて恐縮ですが(参考「セルフエスティームをアップさせるための、一番簡単な方法」)。それまでの人生において成功体験が少なかった私だけのオンリーワンエビデンスなのかもしれませんけれども(苦笑)。
「ま~だ酒なんか飲んでるの?」の世は突然やって来る!?
それはともかく価値観の一変について、です。考えてみればタバコだってそうですよね。まるで突然のように「タバコダサい」世の中になってしまい(参考「タバコはダサくなった。ユニクロはイケてるようになった。酒は……、どうですか?」)、今ではもう歩きタバコしている人間は、クズ中のクズのようなポジションになっています。昔はみんな普通にしていたのに、です。
酒についても大昔、インドかぶれ(失礼!)のヒッピー崩れ(ますます失礼!)のようなカメラマンから「〇〇さん(私のこと)酒飲むんですか!」と心底驚かれたことがあり、このブログにも書かせていただきました(参考「なぜインド人は酒を飲まないのか。そこには、未来に向けた指針が隠されている!?」)。もちろんその時点(80年代終わり頃)ではレアケースだったと思いますが、やがて日本も「ま~だ酒なんか飲んでるの?」の世界になるのかもしれませんし、それがやって来るときは「突然」だと思います。そうなれば断酒者はますます断酒継続がしやすくなります。そういう世の中が来ることを期待したいです。あるいはこのコロナがきっかけで、とも思ったりもしますけどね。