タバコはダサくなった。ユニクロはイケてるようになった。酒は……、どうですか?

酒やめて、1034日。

sena lotus

Credit: Simon Bruty/Allsport

中嶋悟が日本人初のF1パイロットとして参戦した時(1987年)、まさに「F1はタバコ」でした。中嶋が乗ったロータスのメインスポンサーがキャメル、チャンピオンのプロストが操るマクラーレンがマルボロ、それにフランスチームのリジェがやはりフランスタバコのジダンで、カラーリングがとても美しかったのを覚えています(遅かったけど)。

中嶋を応援しているからタバコを吸う!?

ロータスは中嶋が乗る前まではジョンプレイヤーズスペシャルで、これもめちゃかっこよかったですね。耐久レースに目を移せば、チャンピオンのポルシェのロスマンズカラーが印象的でした。F1でも、後にウィリアムスがロスマンズカラーになりましたし、日本のマイルドセブンも参戦しました。

私は、当時はキャメルを愛用していました。中嶋応援行為であるとともに、一番イケてるタバコと認識していたからです。ジェームス・ディーンが『理由なき反抗』で吸っていたのも確かキャメルでしたね。タバコを吸うという行為、とくにキャメルを吸う行為はとてつもなくかっこいいものに思えていました。むろん、セナ&プロスト+マクラーレン+ホンダ+マルボロという、今でも伝説になっている黄金チームが誕生したとき(1988年)はマルボロに切り替えました。馬鹿です(笑)。

ただし、もうその頃にはヨーロッパではタバコ規制が行われていて、電波メディアや紙メディアによるタバコ広告がしにくくなっていたので、最後の広告活動をF1をはじめとしたモータースポーツに求めたというのが実情のようです。日本はまだテレビでもタバコのCMをばんばんやっていた時代なので、その辺の事情は後で知ったのですが。

さて、ご存じのように、そうした流れはどんどん加速し、ついにF1の世界からも「タバコ」は消えました。そればかりか、海外ではパッケージに肺がんの写真が載るようになったりして、徹底したタバコ叩きが始まりました。

そうしたムーヴメントに乗るように私もタバコをやめたのですが、なぜタバコ規制が上手くいったかといえば、やはり受動喫煙の危険性が指摘されたからでしょう。タバコを吸うヤツは自分だけでなく他者にも危害をおよぼすということが、科学的に証明されたのが大きいと思います。喫煙者は他者に思いを致すことができないジコチュー、そこから発展(?)し、自己管理できないダメなヤツという世論が展開していったわけですね。また、服などに付着したタバコの臭いの臭さの問題も、以前からあったはずなのに、急速にクローズアップされました。要は「タバコ=ダサい」になり、その「ダサい」イメージが禁煙ムーヴメントに決定的な一石を投じた、と私は考えています。

なぜ、ユニクロはイケてるようになったのか

ここでユニクロのことを考えてみます。今、ユニクロを着るのはまったくダサくありません。ただユニクロが出始めたとき、ちょうど中嶋がF1に行ったのと同じ頃かちょっと後だと思いますが、やはりダサかったです。ユニクロを着ているのが恥ずかしい行為であることを証明するかのように(?)「ユニバレ」(着ている服がユニクロだとバレてしまう)なる言葉まで出現しました。

ではなぜユニクロがダサくなくなったかといえば、その高品質が広く知られるようになったこともあるでしょうが、コーディネートアプリのWEARなどで「プチプラのあや」さんのようなインフルエンサーが登場し、プチプラこそかっこいいんだというムーヴメントが起きたせいではないでしょうか。今は、高い服を長く着るよりも、新品のユニクロのほうがイケてるように見える時代です(それではサスティナブルじゃない=イケてないという批判も起きるでしょうが、その辺は独自のウェアドネーションシステムを構築することで、ユニクロは上手く解決しているように見えます)。

ともあれ今は、完全に「タバコ、ダサい。ユニクロ、イケてる」です。でも、30年ほど前は確かに「タバコ、イケてる。ユニクロ、ダサい」だったのです。

「ダサい」「イケてる」というのは、人の心を動かす非常に大きな要因です。重要なのは、それはあっという間に転換、あるいは転回してしまうことなんですねー。おっさんしか知らないダサい死語(?)でいえば、「コペ転」が起きてしまうのです。そして「酒」なのですが、まさに今、その転回の真っ只中にあると言っていいかもしれません。「酒=ダサい」の時代はもうすぐですよー、皆さん。

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