酒やめて、1948日。
インドに行きたいと前々から思っていたのだった!
思えばコロナが蔓延し出すちょっと前、私は前々から行きたかったインド・ベナレスへの旅を計画していたのでした。『ガンジス河でバタフライ』じゃないけど、なんとなく若い頃からベナレスだけは行ってみたい、あるいは人生観変わるかも、と思いつつ、ま、考えただけで、いつか行くぞおおおとときには叫びながら、飲んだくれていたわけですよ。
ちょうど子どもの学費負担も終わり、断酒して3年ほど経っていたので、それなりに経済的な余裕もあり、なおかつ仕事的にも1ヵ月程度は休んでも良さそう(もともと暇だけど)だったという条件が重なっていたのですね。
ただそれも2020年春からのコロナの本格的襲来とともに霧散し、それから2年ですよね。で、思うのは、どこかへ行きたい欲というものがすっかり封印されてしまったなあということです。これは、多くの人が程度の差こそあれ感じているかもしれません。
インドに行きたいとか、深夜特急ごっこ(アジア・バックパッキング旅行)したいとかって若い時分からかなり切実に思っていて、狂おしい欲望に近いものだったのですね。中森明菜さんふうに言えばdesire、受験生英語ふうに言えばhave been longing状態でした。
そんなんだったらとっとと行けばいいのに、飲むことを優先していた愚か者だったことは先述した通りです。
でもって、コロナの収束も見えてきて……というかコロナが日常になり世界が動き出しているときに、じゃああらためてインドに行くかといえば、もう別にどうでもよくなっているのです。ある意味、恐ろしいことに。あんなにdesireだったのに。
ようやく人並みの「経験」への欲望が復活したというのに!
コロナによって多くの人が「行きたい」熱をそがれたと思われますが(逆にさらに高まった人もいるでしょうけど)、私の場合、年齢的なこともあると思います。以前も書きましたけれどももうすでに狂おしく〇〇したいということがあまりなくなっているのです。それにコロナに重なって「どこかに行きたい」に関しては封印されたという構図になるのではないかと思います。
とまあ自分語りしても詮ないですが、個人ブログなので続けさせてもらうと、物欲もなくなりました。昔はエアジョーダンのⅣが欲しいいいいい!とかプジョー205GTiが欲しいいいいい! って狂おしく思っていましたよ。でも最近はヤフオクやメルカリを見ていても食指がまったく動かないのに驚くほどです。
物欲はともかく、私の場合、酒飲んでた時期が長く、やりたいことといえば酒飲むことしかない――というのともちょっと違っていて、酒によってやりたいことを諦めさせられていた(酒のせいにしちゃいかんが)時代が長く、酒やめてようやく人並みの「経験」への欲望が復活しそれを一つ一つ遂行していくことこそが断酒生活だったのですが、それが数年で終わってしまった。
私にとって、「〇〇を実現したい」を実現していたのは、ほんのちょっとの期間だったのです。しかもやめてしばらくの間は経済力が復活してなかったので、そのそれほど多くのことができたわけではありません。
ようやくいろんな条件が整ったところなのに、なんとなく欲望がシュリンクしてしまった。むろんサーフィンはいつでもしたいのですが、それは酒の代わりに脳内快楽を出してくれるからであって、「経験への欲望」とはまたちょっと違っているんですね。それにサーフィンばかりしているのも、生活や人生がモノラルになるという点では、飲酒とあまり変わりはないのです。いや、そりゃ飲酒よりも一億倍いいですけど。
とまあ理屈っぽい自分語りをしてきましたが、要は言いたいのはですね、あと10年早く酒やめてればなあということですよ。これに尽きます。若いうちにやめられる人がうらやましいです。
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