酒やめて、1049日。
アメリカに自称・短期語学留学に行っていたうちの子が戻ってきて言うわけです。アメリカでもストロングゼロ飲んでる人がいた――。さすが我が子、目のつけどころが違う……ではなく、何を勉強してきたんだという話なのですが(笑)。
なぜ、アメリカにストゼロが!?
そのストロングゼロを飲んでいた人は日本人だったそうです。ストゼロを輸出しているという話は聞かないので、居住者なら誰かから送ってもらった上で、旅行者ならばわざわざ持ち込んだのでしょう。ものすごい執念です。
もちろん酒は嗜好品なので、この酒じゃなくてはいけないということはあるでしょう。報道記者をしていたうちの父などは昭和40年代、南洋の小さな島でここにはキリンがないのかと落胆したそうですから(笑)。
まあそれでも個人輸入する、あるいはあんなものを持ち込むのは、やはり並みの執着心ではありません。
一方で日本に来る外国人は、ストゼロが大好きになるらしいです。日本にはこんな素晴らしい酒がある! と。そして帰ってからも、ストゼロが日本のすべて、といった感じで話をするそうです。日本にはもっと見てほしいもの、土産話にしてほしいものがたくさんあるというのに。何を見てるんですか。
実際私も、駅のホームでストゼロ片手にいい気分になってる外国人は二度ほど目撃したことがあります。外国では屋外で酒飲んじゃいけないってよく聞くところですが、その辺どうなってるのでしょうか? そういう点でも日本は天国なのでしょうね。
安酒の浸透は貧困国の象徴か
天国といえばアルコール分9%でそのまますぐ飲める酒、しかもロング缶が、130円ほどで手に入る環境はまさに天国でしょう。このことは、もう日本が富裕国でなくなっていることも関係しているのかもしれません。
世界的にみても、日本の一人あたりのGDPが現在26位まで落ち込んでいることが話題になっています。そして賃金上昇率がマイナスなのは先進国のなかで日本だけです。だからこそ物価が上がらないし、上がらないから酒が安く買え、安く酔っ払え、アル中になる、という構造もあるでしょう。
でもこれって凄い怖いことですよね。アヘン戦争時の中国と同じじゃないですか。あの当時、皮肉な見方をすればアヘンは“福祉”でした。アヘンで浮世の憂さが全部忘れることができたのです。そして今、ストゼロも福祉になっているといいます。超安酒で簡単にハイになれる環境は、国の成長、繁栄、それ以上に興亡ということを考えても、マジでやばいのかなあなどと思ってしまいます。
だからこそ、政府は酒規制しようとしているのかもしれません。かつての日本は、山紫水明の国で、飲料として保存がきく酒ではなく水が飲めた。だからこそ効率の良い社会をつくれた。それが、21世紀では真逆になっている。水よりも安く酒が手に入る世界になっているのです。
私は、その世界にどっぷりとつかっていました。今、そこから抜け出すことができた、かどうかはまだわかりませんが。少なくとも、もう支配されないという思いがある。それが、断酒を続けるひとつのモチベーションになっていることは間違いありません。