酒やめて、1100日。
林真理子さんの小説に『星影のステラ』という作品があります。林真理子さんは、あの有名な『ルンルンを買っておうちに帰ろう』でデビューしたのですが、小説としては『星影のステラ』が処女作だそうです。
小説書くのも、やっぱり恥ずかしいらしい
これ以降、林さんはエッセイストというよりも小説家として大家を成していくわけです。私は林さんの本をそれほど読んではいませんが、源氏物語(『六条御息所 源氏がたり』)は本当に面白かった。今まで、田辺聖子さんや林望さんが現代翻訳源氏を書いていますが、そうしたものを含めて過去最高ではないでしょうか(“ハルキ源氏”を待ち望む声は高いようですが……。実現したらノーベル文学賞でしょうねー)。源氏物語で古典を学ぶ高校生にもぜひお薦めしたいです。漫画『あさきゆめみし』よりも、むしろ読みやすいです――こんな断酒ブログを高校生が読んでいたらそれはそれで問題ですが。
さて『星影のステラ』ですが、これは林さんの自叙伝的小説です。ステラというあだなを持つ不思議な友人との友情と別れを描いています。その冒頭にこんな一節が出てきます。
彼女とのことは一晩かかっても話しきれるはずはないし、それにその時あたしはすべてを話さなくてはならなくなるはずだから。(略)それはとても恥ずかしい、いろいろなことがらで満ちている。
ブログを書くことも、とくに断酒ブログ系を書くのも、まさに恥ずかしいことをさらしていくことに他なりません。
ですからどこまで書くか、という問題が常にあるわけです。
こんなブログでも知り合いの編集者が読んでくれていて、彼は編集という仕事の性格上、刺激あるネタを求めるわけですよ(因果な商売ですねー)。ぶっちゃけ、アル中時代の壮絶な失敗談ですよね。
アル中武勇伝(?)の本当の意味での怖さは……
以前紹介したアル中のための三大聖書のひとつである、まんしゅうきつこさんの『アル中ワンダーランド』(参考「壇蜜さんのお相手とアル中の意外な関係とは?」)には、講演会で酔っ払って(話す前から泥酔していて)自らおっぱいぽろりしたという非常にインパクトのあるエピソードが出てきます。もうそれですべて持っていっちゃう感じです(笑)。
ただそれは、まんしゅうさんが美人有名人だからであって、一般人アル中の壮絶エピソードも……、それはそれで意味があるのかもしれませんが、ただ、先の編集者のリクエストは矛盾をはらんでいます。というのは、泥酔失敗のたぐいは、そもそも本人は覚えていないし、周囲もよくも悪くも大人ですから、警察ざたにでもならない限り口をつぐんでしまいがちです。だからあまり表面化しないのです。実はそれが一番怖いことで、周囲はなにも言わず去ってしまうのですね。
もちろんブログは匿名なので、何でも書いてもよさそうだけれども、ただこのブログでも、これを書いていることを知っている人は、現実生活の私の周りにいっぱいいるのですよ。そうすると失敗談もそうですが、私という人間のダークサイド(笑)がブログを通じて知られてしまい、それが実生活に影響を及ぼすということも考えられます。そこが難しいです。
先の『星影のステラ』も、自伝であり実話に基づいていますから、そこに出てくる人々のなかには私も現実に存じ上げている方もいます。ああ、あの人だなとわかったりするのです。
ブログも同じですよね。どこで線を引くか。今のところ私のブログの登場人物(?)は笑って許してくれそうな人ばかりですが、実は笑って許せそうにない、許してもらえそうにないのが私の失敗談だったりするところが皮肉です。
て、自意識過剰すかね……。でも自意識過剰だからこそ、自分と向き合うのが怖くてアル中になった、という側面は確かにあるわけで(笑)。