そこの飲んだくれの方、「それでも家に帰れている」はエビデンスになりませんよ!

酒やめて、1132日。

蓮舫さん、それはおかしいですよ

新型肺炎対策として政府が中国と韓国からの渡航者の入国制限をしたことについて、立憲民主党の蓮舫副代表が自身のTwitterで「なぜ、韓国と中国なのか」と疑問を呈したことが話題になっています。その後、国会でも噛みついたとか。発言には「イタリアとイランからの 入国制限に触れていないエビデンスを示してもらうことにします」というものも含まれたことから、ネット上では単にエビデンスという言葉を使いたかっただけやろーという反応が多数あって笑えます。中韓の患者数が非常に多く、また平常から日本との人の行き来も諸外国に比べて際立って多いことは「エビデンス」にならんのかー、というわけです。

確かに「エビデンス」という言葉は便利なものであるとは思います。高校時代に覚えた単語ノートではその対訳は「証拠」と示されていた記憶がありますが、日本語化した「エビデンス」は自分の主張・提案を裏付けるための理論や具体例というふうなニュアンスで使われることが多いようです。世の上司なんか、エビデンスを示せエビデンス示せとやたら言いそうですもんね。

このように英語が日本語に転化したとき、発音が変わるのも一つの特徴でしょうが、意味が包括的になって使い勝手が抜群によくなる傾向がある気がします。ちなみに「メソッド」という言葉は今では一般化し便利使いされていますが、田中康夫ちゃんは実に80年代から著作のなかで用いていました。

実は私は康夫ちゃんのファンでして、著作はほとんど読んでいますので、やはり80年代からメソッドという言葉を、会議などで得意がって使っていました。たぶん周囲は、こいつ単にメソッド言いたいだけやろーと思っていたでしょう。

さてメソッドはともかく「エビデンス」です。アル中まではいかない過飲酒者あるいは単なる酒好きでも、俺はまだ大丈夫、酒で破滅することはないということを自分に納得させ周囲にも納得させる「エビデンス」として、酒飲んで記憶をなくしてもちゃんと家に帰っているということを挙げるケースがわりとあります。私もそうでした。

数日前にも書きましたが(参考「電車の車内がデンジャラス。よくぞ数十年生き延びてきたものだと」)、酔っぱらいはどんなに泥酔していても、それこそ家に帰ってタンスの引き出しに小便をするような状態でも、とりあえず家に帰れることは帰れるわけです。どこをどうやって帰ったか、という記憶がまったくなくても、ですね。これを自分がまだ大丈夫であることの「エビデンス」にするのです。我々としては。

引き返すのは早いほうがいいです!

でも断酒友は、お互い飲酒していた時代からそれは違うんだと一貫して訴えていました。つまり帰宅をオペレーションする脳と酔っぱらって記憶をなくす脳は違うのだと。難しいことを言い出すと、大脳辺縁系と大脳新皮質とやらになるそうですが、要は前者はイヌの脳(ウマの脳ともいう)で後者が人間の脳です。そしてこのほかに脳幹というワニの脳があります。

で、アルコールは人間の脳にダメージを与えるのです。だから記憶がなくなります。しかし犬の脳は「健在」なので帰ってこれるそうです。そういえば、犬の帰巣能力は非常に高いことが知られていますしね。

というわけで、あなたのなかの人間ではなくイヌがあなたを帰らせているのですから、「覚えてないけど帰れた」あるいは周囲の「記憶なくしたって言ってたけど全然普段と変わらなかったよ」は、「大丈夫」のエビデンスにはまったくならないのですよ。

さらに怖いのはこのブラックアウトを繰り返すと、イヌの脳は無事(?)にせよ、人間の脳のほうにはどんどんダメージが蓄積されるというのですね。ブラックアウトした回数だけ脳が劣化すると考えてもいいと思われます。そしてそれは確実に、早期の認知症発症のトリガーになります。

まあだから酒やめておいてよかった、なのですが、やられてしまった脳は悲しいことに元には戻らないそうです。ですから、どこで引き返すかということですよ、やっぱり。うんと手前で引き返せる人が、私としては本当にうらやましいです。

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