もうジジイは酒をやめ生活をミニマムにして、贅沢言わずひっそり生き、若者に道を譲ろうよというご提案。

酒やめて、1205日。

検察庁改正法案が見送りになりました。ツイッター世論の盛り上がりが安倍内閣の情実人事法案をやっつけたみたいな文脈で捉えられているようですが、私はまったく別の視点から本当によかったと思います。

公務員定年延長は若者の雇用を奪うものだという正論

というのは、この検察庁改正法案は公務員定年延長法案とセットになっているわけですよね。これについて、世耕弘成参院議員がめちゃ素晴らしい発言をしています(参照「世耕氏、公務員定年延長「仕事があるなら若者採用を」」)。

詳細はリンク先をご覧になっていただきたいのですが、要は見出しそのままで、公務員が定年延長するくらい仕事があるんだったら、若者をどんどん採用しようよってことです。パチパチパチパチであります。はばかりながらこのブログでもそうしたことをこれまで訴えて参りました(たとえば参考「高齢者オリエンテッドな社会制度で、若者に対する福祉はストロングゼロだけ? それじゃあいかんでしょ、やっぱり」)。

断酒ブログの分際で、そんなふうな政治的(?)主張をして来たのはですね、私は若者のキャリア形成に関連する仕事をしており、また親の一人としても言いたいのですが、公務員採用というものは、若者にとってある種特別な意味を持っているからです。

文系で、一生懸命勉強してきて学力秀才ではあるけれども、いまひとつコミュニケーション力がないタイプは一定数確実にいます。そしてこういうタイプは、民間ではなかなか採用されにくいのです。

しかしそうした若者にしてみれば、勉強していい成績を取れ、いい大学に行け、みたいな価値観で育ってきたのに、いきなり就活でコミュ力とか人間力とか、恣意的な指標を持ち出されても困るわけですよ。そして公務員採用は、このような若者の駆け込み寺というかセーフティーネットになっていた部分があります。もちろん狭き門だけれども、ちゃんと対策・努力すればある程度、採用が見えてくるタイプの試験だったのです。一方民間採用は「なんで不採用になったのかわからない」の世界ですもんね。

公務員は、最近では状況が若干変わってきてますけれども、基本的には試験で良い点を取れば採用される職種です。つまり学校で良い成績を取ることと同じ価値観でチャレンジできます。だから「公務員予備校」が成立するわけです。

で、こうした職種を定年延長すると、当然、採用がシュリンクしてしまいますから、学力優秀でコミュ力がない人は行き場がなくなる、あるいはごく小さくなってしまうんですよ。

だから世耕さんは、本質的なことを言ってくれたと思います。さすが、近畿大創始者一族です(笑)。少なくとも今の若者の状況がわかってます。

では、そうまでしてなぜ公務員を定年延長するかといえば、件の検察庁も含めて別に情実人事じゃなく、要はよく指摘されるように年金問題があるわけですよね。支給開始を遅らせたいから定年を延長しようと。で、公務員を先にやれば民間も追従する、ということです。

日本の場合、産休制度にしても、あるいはクールビズなどにしても、まず役所から、です。それが行き過ぎて、毎年産休で教壇に立つことがない先生などもいて、なぜかマスコミには取り上げられないけれども、通学区の口うるさい保護者レベルで問題になったりするのですが、そのくらいやらないと民間には波及しない、という考え方がベースにあると思います。

また今回のことに先立って、70歳までの定年延長が努力目標として示されたりもしました(参考「ついに政府による正式な「死ぬまで働け」宣言キター! ほんとに酒飲んでる場合じゃありません」)。むろん年金支給先延ばしとリンクしたものです。

「サステナブル」とやらのためにジジイだってできることがある!

でもですね、素人考えですけどこれって絶対おかしいですよ。なぜかというと今の年金制度は賦課制なのだから、定年延長などで若者の採用をシュリンクさせるようなことをやってしまえば、そもそもその年金の原資がなくなってしまうからです。金のがちょうの腹を開けて金のたまごを取り出そうとしているみたいなもんじゃないですか。政府はよく持続可能、持続可能と言いますが、そのわりには、まったく持続可能じゃないですよねー。矛盾しとるがな。

で、言いたいのは、もちろん選挙に行かない若者も悪いのですが、もうこれ以上若者を高齢者に奉仕させる社会構造にするのはやめようぜということです。日本全体として。

それでなくても今回のコロナ禍で、若者は醜い老人をいっぱい見て、そして世代間不公平を充分すぎるほどに実感しています(参考「コロナ危機によって広く認知された「老害」と、これから老いる人が気をつけておきたいこと」)。

若者の手取りが少ないのも職を失うのもコロナ不況もぜーんぶ行き過ぎた高齢者優遇だという構造になっています。いい加減にしないとマジで革命が起きますよ。ジジイに片足突っ込んでる私も被害に遭うでしょう。やれやれ。

ということで、ジジイとしては、もうこれ以上社会に要求するのはやめて(要求することイコール若者に奉仕させるということですからね)、ひっそりと生きていきましょうよ。

で、そのひっそりの中に「酒やめる」も入っていいのかなと……断酒者ご都合理論ですが(笑)。ただ、いつも書かせていただいているように、酒やめると生活がミニマムになるのでひっそりと生きることも可能になり、それが次世代の幸せにつながる。綺麗事を言っていますが、割とマジでそう思う次第であります。それこそが、我々にできるサステナブルな社会づくりへの貢献かも、です。

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