酒やめて、1237日。
徳川綱吉はバカ殿どころか天才政治家だった!?
井沢元彦さんの『学校では教えてくれない江戸・幕末史の授業』を読みました。その中に、徳川綱吉は天才政治家であるとの記述がありました。一般には綱吉はバカ殿認定されています。それを天才と断じているのです。
私は井沢さんの著作が大好きで、おそらくほとんど読んでいると思いますが、やはり衝撃を受けたのは『逆説の日本史』とくに「古代黎明編」ですね。ここで井沢氏は、卑弥呼とアマテラスの関係について論じていました。
私は卑弥呼という存在を知ったときから、それと神話のアマテラスの関係について、なんとなく不思議に思うというか、違和感を覚えていましたので、井沢氏が「アマテラス=卑弥呼」論を説き、さらには持統天皇がアマテラスになぞらえられているという説を展開するに際しては、まったくもって敬服してしまった次第であります。
ですから以来数十年ファンであり続け、もちろん同氏が綱吉名君説を唱えているのは知っていました。が、ここにいたって「天才」とまで断じたのは、ファンながらも少々びっくりしたのです。
なぜ井沢氏が綱吉を天才というかといえば、生類憐れみの令を発布したからです。一般には天下の悪法と思われていますよね。しかし井沢氏は、これがあったからこそ戦国時代の遺風が消え太平の世の中が訪れたと説いています。
戦国時代は斬った張ったが当然であり、さらに江戸の世になってからも、武士は常に自分の剣術の力量を磨くために辻斬りなどするのは当たり前だったらしいのですね。そうしたことをやめさせるためには、人間はおろか小動物一匹殺してもいけないという、極端な法律が必要だった。綱吉はそれをわかっていた。したがって一代で一大パラダイム転換をしてしまったというのです。
なるほどと思いましたねー。私などは、江戸時代に入り戦争もなくなり、だんだんと世の中が平和に向かったように思っていましたが、そうではなくて、それは「生類憐みの令」という人為によって強制的にもたらされたものだったのです。
パラダイム転換受容は日本人の得意技?
実はこのことは、日本人の気質も関係しているのかもしれません。日本の歴史上、一瞬にしてパラダイム転換が起きた、ということは何度かあります。古くはオオクニヌシの国譲りもそうですし、明治維新もそうです。あるいは廃仏毀釈などもそれに含まれるでしょう。
ある一つの何かをきっかけにして価値観がまったく転換してしまう。そしてそれを日本人は受け入れ、後から呈示された価値観の強烈な信奉者になる……という民族性(?)は確かにあるのでしょう。だから明治維新など西洋では100年以上かかるという革命を、十年足らずで成し遂げてしまったのですね。
これも井沢氏の著書に書いてあったことですが、司馬遼太郎はそれを指して「軽薄へのエネルギー」と言っていたそうです。
そして実は、現代におけるタバコ(規制)も同じなのではないか、と。歴史からいえばほんの一瞬で「タバコやめようタバコダサい」になりましたよね。もちろんこれは日本に限ってのことではないでしょうが、ただ「諸外国がタバコいかんと言ってるぞ」からすぐに「日本もタバコいかん」になりました。あるいはユニクロも、あるときから一転、ダサイからイケてるになりました。こういうふうなコペ転は、日本人の得意とするところなのでしょう(参考「タバコはダサくなった。ユニクロはイケてるようになった。酒は……、どうですか?」)。
だったら酒も、と思ってしまいますよねー(笑)。断酒者としては当然ながら。というか、今、まさにその転回の渦中にあるのではないでしょうか。あっという間に「酒ダサい」「酒飲んでる場合じゃない」の世の中がやってくるやもしれません。
そうしたときに我々断酒者としては「古参」のポジションを得るわけですよ。今、俺はおまえらと違って適正飲酒だからとか言ってる輩が突然酒やめたら、「こーの、にわか!」と愛をこめて罵倒したいと思います(笑)。
まあ「古参」だからどうしたと言ってしまえばそれまでですが、でもタバコの場合タバコを早めにやめた人は明らかに得してますもんね。金銭面でも健康面でも。そして酒を早めにやめた人は、これらに加え時間面でも得をしてるわけですよ。
ともあれ日本人はパラダイム転換を受け入れやすい人種なのかもしれませんし、今後それが世界の中でアドバンテージになるやもしれません。
さてパラダイム転換と言えば、日本の歴史上最大のそれは終戦でしょう。なにしろ戦争万歳の世の中から、戦争は絶対いかんの世の中になったのですから。そしてそれが行き過ぎた弊害が近年出てきています。周辺の国がみんな日本にミサイルを向けているというのに、それから国民を守ることすらできないような状態にあります。
しかしなかなか憲法改正は難しそうです。だったらミサイル向けてる、日本に対して好戦的な周りの国々にストロングゼロを輸出するべきですよ。あんなに安くてすぐに飲めて飲みやすくて、最終的に人間をダメにする飲料は日本にしかつくれません。これを戦略兵器にすればいいと思いますよ。ちょうど19世紀にイギリスが清にアヘンを輸出したように。いや、わりにマジで思っております(参考「ストロングゼロは貧者の核兵器にもなり得る、恐ろしい戦略物資ではないかという仮説」)。