酒やめて、1268日。
行き過ぎた高齢化が導く地獄とは?
なぜ年金が破綻……はしないでしょうけれども制度不全を起こしているかというと、要は寿命が伸びているからですよね。昔は女子は55歳受給開始でしたから、払い込み期間よりも受給期間が長いおババ様もそこそこいます。それじゃ、単純に考えて成立するわけありません。
もともとは現役引退後15年程度支給する、つまり平均寿命が70歳半ばくらいを想定して設計されたものだと聞いています。40年間払い込んで15年受給ならバランスも良いのでしょう。もちろん賦課制ですから、支えてくれる働き手が減らないことが大前提になってて、こちらも今や完璧に崩壊しています。
ちなみに平均寿命の伸長は当然ながら医師不足を招き、日本の多くの秀才が医学の分野に吸収されるに至っています。本来であれば先端技術の開発などに携わっていなければならない秀才がみんな医者になってるのですよ。その意味で今の状況は、単に医療費増大、年金不全にとどまらず、国力の衰えにもつながっていると思いますし、ITが席巻する世界において日本が立ち遅れたのも、案外この辺に理由があるような気もしています。
みーんな行き過ぎた高齢化が悪いんや、ということですよね。
で、酒文化もこうした状況にもうそぐわなくなっているということを私は言いたいのであります。
もう酒と添い遂げることなんでできない!?
以前も書きましたが、定年まで雇用が保障され定年と同時に年金支給され、それ以前にもう家のローンも終わり子どもも育てあげていたという状況であれば、あとはいくら飲んでも良かったわけで、そしてまあ早々にお亡くなりになっていたわけですよ、昔の先輩方は。ある意味、理想的な人生ですよね。うらやましいです。
ところが今や、60歳過ぎても子どもの学費を払わなければいけなかったり、家のローンが終わってなかったり、もちろん働かなければ生活そのものも成り立たなかったりします。その一方、人生100年などとそらおそろしいことが言われていて、この先もずっと生きてしまうのです、我々は不本意ながら。そうすると、酒と蜜月を過ごした先輩方と同じような感覚で飲んでていいわけがありませんよね。
そしてポイントになるのは我々の親世代も長生きになっていて、介護の問題が横たわるということです。
私と長年一緒に仕事してきた仲間にも、親の介護のために仕事をやめて田舎に引っ込んだ人がいます。ああ、よく目にするあれはあの人の仕事なんだという作品をいくつも残してるような優秀な方なのに、です。
結局のところ齢をとっても楽隠居には到底なれないわけです。たとえ年金や資産が十分だとしても、やらなきゃいけないことは山ほどあってそうそう飲んでいられない。飲んで身体を壊したりもできないということです。結果的に長生きしてしまうのが皮肉と言えば皮肉です。
いろんな意味でライフモデルが変化している中で、酒飲みモデルだけが変わらないというのも変な話です。我々世代以下の世代は、一生酒と幸せに添い遂げることなんてできないのかもしれません。誰でもどこかの時点で、断酒あるいはまあ減酒でもできる人はそれでいいですけれども、きっちり、酒との付き合い方を考えなければいけない時が必ず来ます。
そんなふうに思えば、俺だけじゃないみんなそうなんだって勇気が湧いてくるってもんです。断酒者としては。