酒やめて、1189日。
昨日、アル中→断酒大先輩のエルトン・ジョンさんについて書かせていただきました(参考「断酒大先輩であるエルトン・ジョンさんのこと」)。(映画に描かれた)エルトンさんくらい私生活と内面がぐじゃぐじゃならば、そら酒にも溺れたくなるわ、そこへいくと私のぐじゃぐじゃなんてちっぽけだ……、みたいなことを書きましたが、ただ、彼と私のような一般人を比べると、まあエルトンさんはお金には困ってませんわな(笑)。そこがひとつポイントでしょう。我々一般人は、酒と貧困問題を切り離しては考えられません。
「酒にお金を使う」行為は他の消費行動とは異なるのだ
新型コロナウィルスの影響で、すっかり宅飲みが定着しているようです。宅飲みは外飲みに比べてかなり安く飲めますし、今や9パーセントの缶チューハイが、安いメーカー(サンガリア)やプライベートブランドなら89円なんて値段で売ってますもんね。もう本当にアル中への陥穽がぱっくりと口を開けています(参考「とにかく日本は酒が安すぎるんだよ、という件」)。
アル中云々はともかく、安いからといって、こればかり飲んでいるのなら、少なくとも経済的には楽勝……とも言えないというのが今回のテーマです(笑)。
確かに安く飲めます。ただし「飲まない」に比べてお金がかかることは厳然たる事実ですし、ましてやコロナが収まって外飲みしようとするとこれでまたお金が必要です。さらに飲酒者は飲酒という行為を「イベント」に仕立てようとしますから、宅飲み、外飲み関係なくイベントを華やかに(?)にするためのもろもろの経費もかかります。
ただ元アル中として思うのは、酒にお金を使うことの一番の怖さは、それが住宅ローンや家賃、光熱費、あるいはお子さんがいる方なら教育費と同じく「固定費」になってしまうことなのです。そしてしばしば、住居費や教育費よりも、支出の優先順位が上になってしまうのですね。昔のアニメによくあった「お父さん、それは給食費なのよ、お酒に使ったらダメ!」「うるせえよこせ!」「いやあああああ!」状態になります。おおげさに言えば(参考「酒は、クズ親のアイコンか?」)。
酒に使うお金は、絶対に確保しておかなければならないものです。少なくとも昔の私からすれば。
ですから、今月はお小遣いが厳しいからとか、またコロナで先行き不安で出費を抑えなきゃいけないからといって酒を飲まないでいられる人はまったく大丈夫であり、このブログを読む必要はないと思います。
でもですねー、アル中まで行かなくても酒飲みはそうじゃないんですよ。意識するしないに関わらず(昔の私は完全に確信犯でしたけど)、酒への支出をとにかく最優先に、住宅ローンと同じくらい大切に考えてしまう。それが、コロナ危機でできるだけ固定費を少なくしなければならない今、大きな負担になります。
さらに絶対に使わなきゃいけないお金ということは、借金してしまう怖さもあるわけですね。
少し前に、どこかの地方自治体が住民税滞納している人に、消費者金融にでも借りて払えと言って問題になってましたが、まさにこの「住民税」と同じことが「酒」でも起きてしまうのです(ちなみに税金は滞納すると超高金利なので、金利の安いところで借りて払ったほうが理にかなっているのは事実です)。
たとえば私がツイッター上で勝手に断酒仲間と認定させていただいてる@ダメリーマン斉藤さんもこのようにつぶやいたりしています。
借金の話な。オレが飲みまくってた頃、酔いの勢いに任せて、バンバン金使ってたころ。最初のうちは、給料の中だけで収まっていたのが、ついにカードで支払うようになって。酒飲みが、カード持っちゃうと、ヤバイよな。だって、ほんとに借金がいくらなのか、把握できないもんな。#断酒
— ダメリーマン斉藤 (@saito2020tokyo) April 24, 2020
斉藤さんは今では立派に更生(?)されていますが、ただし指摘されているように、酒で金を借りると「青天井」になってしまいがちです。
まさに、酒と多重債務は手に手を取ってやってくるのです(参考「アルコール依存と多重債務、どっちがよりヤバいか?」)。
一番怖いのは、貧乏脳が仕事の足を引っ張ることだ
そして一度、そんなふうにお金に非常にシビアな状況に陥ってしまうと、脳が「貧困脳」になってしまうらしいのですね。このような記事(「貧困下にあると貧しい現状で頭がいっぱいになり貧困から抜け出せなくなる」)があります。経済のことで頭がいっぱいであると、本来、仕事にパフォーマンスを発揮しなければならない脳の領域がそちらに取られてしまうというのです。
この記事は、もう7年ほども前のものですが、私の断酒と断酒継続に大いに役立ったと思います。
というのは、反面教師のような人もいるからです。
私の、オフライン上の知り合いの多重債務者で、まあいつも金がない金がないどうやって暮らしていこうか困ったもんだと言っている人がいます。
そうすると、ですね、「貧困脳理論」が適用されるとすれば、周りは、この人は仕事で100パーセントのパフォーマンスを発揮できるのだろうか、という目で見てしまいます。
今までは、貧困と仕事のパフォーマンスはあまり関連づけて考えられてなかったかもしれませんが、この理論(?)が広く認知されるようになると、たとえば酒(ギャンブルでもいいですが)で金を使いすぎて首が回らない人間には、仕事を頼まないようにしよう、契約を打ち切ろう、みたいな世の中になっていくかもしれません。
ポストコロナの世界では、大きなパラダイムシフトが起きると言われ、こうしたこともだんだんクローズアップされていくかもしれませんね。
いずれにせよ、人間の脳はやはり劣化させちゃいけないし、仕事や家族、あるいは愛する人以外のことに使っちゃいけないと思います。
そしてアル中や過飲酒者にとっての酒は「固定費」であるがゆえに、それに金を使うことは貧困に陥りやすく、そうすると、仕事や家族以外に頭を使わざるをえない状況に陥り、それが仕事の喪失などさらなる悪い状況をまねく、と、こうした理屈も成立しそうではあります。
まあやっぱり、酒やめて正解、ということになるのです。