金原ひとみ著「ストロングゼロ」が導く飲酒の世界の劇的変化を、高見の見物しようじゃないか!

酒やめて、1404日。

芥川賞作家もストゼロに着目!

芥川賞作家の金原ひとみさんの「ストロングゼロ」という小説について、東洋経済が記事にしています(参照「金原ひとみ「ストロング系は罪深き飲み物」)。私がTwitter上で勝手に断酒仲間認定させていただいているBumBumSurfBum@takatoga1977さんもピックアップしていますね。

そもそもこの「ストロングゼロ」という短編小説は、文芸誌である『新潮』の2019年1月号に発表されたものだそうで、本の発売は一昨年の12月です。現在のところ単行本としては出版されておらず、私も読んだことがありません。出版されたらぜひ読んでみたいと思います。

ではなぜ、一昨年発表の小説が今、取り上げられているのかといえば以下は推測です。

取り上げた東洋経済ですが、同誌にはストロングゼロをある種コンテンツ化しようとする意図があるようで、たびたびストロングゼロに関する考察記事をウェブ上に載せています。今回の記事も、その一環としてのものなのでしょう。

ストロングゼロのコンテンツ化については、「ストロングゼロ文学」や「底辺汁」、あるいは「絶望が深いほど美味くなる」など、ネット上では、それこそ文学的に以前から熱く(?)語られていたのはご存じの通りです。そして今や、出版社もこの現象に着目し、優良コンテンツ(?)として提供しようとしているようで、なかなか感慨深いものがあります。

そうしたなか、芥川賞作家の金原ひとみさんが「ストロングゼロ」という小説を書いたことは大きな意味を持つのではないでしょうか。

小説は読んでなくて申し訳ないんですが、くだんの東洋経済の記事にはこのような一節があります。

――作中では主人公のミナがコンビニのアイスコーヒー用の氷入りカップに「ストロング」を入れて、社内でストローを使って堂々と飲むシーンがあります。「何飲んでるのと聞かれたらレモネードか炭酸水と言えばいいのだ」と妙にリアルです。

これはねー、めちゃよくわかるのですよ。就業時間中にどうやって飲むかは、アル中業界では切実な課題ですもんね(苦笑)。

昔は就業中飲酒はわりに普通……ではもちろんないけれども、よくあるといえばよくあることでした。デスクの上の番茶の中にウイスキー入れているおっさんとか普通にいましたから。

また、鉄道管理局があった街では朝から飲める立ち飲み屋が今でも数多く存在してますが、そこのおばあちゃんの証言によると、昔は一杯引っ掛けてから出勤する国鉄マンも多かったとか。

私の周囲にしても、ちょっと前に昔の同僚と仕事の打ち合わせをしたのですが、そいつは銀座の釜飯屋を指定してきて、私が着いたときには、就業時間中だというのに昼から焼き鳥と瓶ビールを並べて一杯飲ってましたもんね。かくいう私自身はといえば、まあ何しろ定収入皆無のフリーランスの身なので、やりたい放題でしたわ(苦笑)。

とまあ、そうした就業中飲酒という局面において、ストロングゼロならレモネードだと言える、と。

「勤務中に飲酒」という、アル中の永遠の課題あるいは夢においても、ストロングゼロという存在が、ある意味、象徴的存在となっており、それを芥川賞作家が「公認」「追認」したかたちなのです(そうなのか?)。

ストロングゼロがある種の基準になる飲酒の世界

そして以前も書きましたけれども、このようにストロングゼロのプレゼンスが世の中でますます大きくなると、マジで時代が変わるのじゃないか、と。

これも以前書いていて恐縮ですが、今、ストロングゼロが一つの線引きになっていますよね。つまり「俺はストロングゼロだけは飲んでないから大丈夫、アル中じゃない」という信仰がアル中業界にはあり(参考「「ストロングゼロは飲んでない!」で一線を引いてしまうことの危険さ」)、それとはまったく逆に、「ストロングゼロならなんとなく雰囲気がジュースぽいし、これを飲んでいたらアル中じゃない」という信仰もまたあり、この場合、東洋経済の特集にもあるように、アル中への間口を広くしているわけです。

どちらの意味でも、アイコン化しています。さらにはストロングゼロ(表記は「強ぜろ」)というアイドルまで出現している昨今です(参考「ついに「ストロングゼロ」を名乗るアイドルまで登場! 社会現象になったことがストゼロのウイークポイントか?」)。

何かですね、そうした状況が、飲酒の世界、いや世の中全体に、結構とんでもないことをひき起こしそうな予感がするのですよ。それは大幅な酒規制であったり、劇的な酒の地位低下かもしれない。それを高見の見物していたい断酒者なのであります。

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