酒やめて、1176日。
コロナ禍によって飲食店業界はどうなるのか
新型コロナによる外出自粛で一番影響を受けたのは間違いなく飲食店でしょう。私も初期(?)の頃は、応援といった気分で行っていましたが、今やもう飲食店に行くのが社会的に悪の風潮があり、そもそも緊急事態宣言が出てからは外出すらはばかられるのでまったく縁がなくなってしまいました。
その一方では、飲食店を介さないコミュニケーション(飲食)行為も社会的に確立しているようです(参考「オンライン飲み会の出現で見えてきた、酒飲みのタイプと断酒者への影響」)。
今回のコロナ禍で飲食店の多くが廃業に追い込まれるとも言われ、また自粛要請による休業補償をどうするかということが社会問題になっています。ポストコロナの世界では、飲食店を取り巻く様相もかなり変わってくるでしょう。
さて、長らく普通の勤め人にとってリタイア後に飲食店を開くというのは、一つの夢でありライフプランでもありました。
そしてもちろん成功しているところもあります。勤め人時代にラーメンだったらラーメン、居酒屋だったら居酒屋を熱心に渡り歩き、ラーメンオタク、居酒屋オタクの視点から店づくりを行い、それが当たるというケースもままあるようです。
さらに震災後の一坪バルブームで、出店ハードルも低くなったように見えました。SNSの普及で「飲んでるなう」の連絡を取りやすくなったため、気軽に入れ、席の融通が効く立ち飲みタイプのお店の需要が社会的に高まったということもあります。
私も若い頃から、引退後は飲み屋やりたいなあとはなんとなくですが思っていて、一坪バルブームのときは、マジで考えたりもしました(笑)。
ひとつには、カウンターの中で客から酒をおごってもらう、つまりタダ酒が飲めてなおかつそれが経営に貢献するという、非常にアホなことを夢想していたのです。これは理想やなとさえ思っていました。完全な馬鹿です。
私自身、飲酒時代は、カウンターの中のオヤジというかマスターにゴチするのはとても好きでしたし、そこで仲良くなったりするのも楽しかったのです(向こうはどう思っていたか知らんが)。ですからそんなお店が開業できればいいなあとも考えていました。
で、たまたま仕事で知り合った飲食店プロデューサーのような方にそういう話をしてみたことがあります。即座に、それ半年で潰れるなと言われましたが。
余談ながらその方が言うには、昔のことなので参考になるかどうか分かりませんが、飲食店をやるならとにかくチェーン化して、二軒目から儲け三軒目から大儲けという構造にすることだそうです。
飲食店経営というライフプランはリスク含み?
さてそんなこんなの「夢」なのですが、それがコロナ後の世界で果たして同じように見れるのかどうか、ということをやっぱり考えてしまいますよ。
というのは、コロナは一時的なものかもしれませんが、ここまで世界がひとつになっていると、こうした感染症パンデミックがこれから度々起きることはほぼ間違いないからです。そしてワクチン開発までの期間はどんどん短くなるでしょうけど、やはり外出自粛要請も度々出るでしょう。
飲食店というもののプレゼンスが、ポストコロナの世の中で低くなることも考えられますよね。当然ながら、もう会わなくてもコミニケーションできるということをみんなが認識しているからです。そこが、同じように休業要請が出ている他の業種との違いです。
酒造メーカーも、宅飲み、とくにRTDということを、今まで以上に重要に捉えているようにも見えます。ストロングゼロがギネス認定されたりしましたしね(参考「外出自粛とストロングゼロの相性の良さは、人生をどこに連れて行くのか」)。
そう考えると「リタイア後に飲食店開業」というライフプランも変わらざるをえません。グローバル化という迷惑なものによって、今後感染症の流行が度々世界を襲うのであれば、リスクが大きすぎます。
いや、実は先に「客にゴチになって経営に寄与する」という非常にあさましい野望を抱いていたことを告白(?)しましたが、酒をやめてからは、経営側が飲まない店というのもなかなかいいぞ、とまたまた我田引水的な理論構築(?)していましたけどね。
ともあれ酒飲み、あるいは断酒者問わず多くの人が抱くであろう「リタイア後に飲食店」の夢は、コロナによって変更を余儀なくされてしまったようです。