酒やめて、1636日。
世の中のすべてのメソッドには賛否両論あるけれども……
16時間断食というダイエット・健康法がブームだそうです。私は最近になって知りました。ご存じの方も多いと思いますが、念のために書き添えておくと、一日のなかに16時間まったく食べない時間帯をつくるもので、それ以外の時間なら何を食べても何を飲んでもいいという、きわめて単純なメソッドです。
これは私の経験ですが、仕事で一年ぶりくらいに会った人がスマートになったのはもちろん、なんだかとても若返ったように見えたので失礼ながら理由を訊いてみたら、このメソッドを利用しているということでした。その方の変化ぶりのインパクトが大きかったので、じゃと思い立ち実行に移すことにしました。といってもまだ三日くらいですが。
ただ、このようなメソッドには必ず毀誉褒貶……というとおおげさですが賛否両論あります。たとえば糖質制限ダイエットもそうですよね。あれ良くないんだよと、どこかで聞きかじったことを何の疑いもなく口にする人が必ずいます。
世の中にはいろんな情報が溢れていて、その情報はえてして紐付きである場合が多いです(たとえば朝日新聞には独自のイデオロギーという「紐」がついていますよね)。だから自分軸というやつを持つことが必要なのですが、酒を飲むとこれが持てず(考えることが嫌いになるので)情報を鵜呑みにして「あれ良くないんだよ」の輩になってしまうということはいつも書いている通りです。
話を戻せば、「断酒」を考えてみても、基本的にはいいことばかりですが、やはり社交という部分で失ってしまうものもあります。ただしこれは我々ジジイ世代だからであって、若い人はもはや関係ないでしょう。「飲まない」が主流になれば、飲みながらの社交も何もあったものじゃないですからね。滅びゆく文化です。そうすれば断酒というものがいいことばかりになるのは、ほぼ間違いありません。自分がラクになるために断酒を広めたいという断酒者のあざとい「紐」も若干入っていますが(苦笑)。
それはともかく、16時間断食についても賛否両論あるでしょう。16時間断食のキモは、空腹の時こそオートファジーが働いて細胞が若返ることだといいます。と、横文字を使われると怪しい感もあるのですが、ただ「16時間断食」が話題になる前から、空腹こそ最高の健康法だということは言われていました。つまり人類の歴史においては、空腹を抱えて生きることがデフォであり、満腹を経験するようになったのはほんの最近のことだと。そしてそうなってから各種成人病などが人類を捉えるようになったというのですね。これは事実であり、なかなか説得力を持ちます。
時代劇に出てくる正義のお奉行様ふうにいえば、「そこもとの申し様、なかなかすずしげに聞こえるぞ」てな感じですよね。
16時間断食をきっかけに断酒するというテもあるかも!?
数あるダイエット・健康法の中でも「すすしげな」理論的基盤(?)を有する16時間断食は、実践という面でも魅力的ではあります。なにしろ16時間以外は何を食べても飲んでもいいのですから。
で、ここからが重要なのですが、実行しやすいかどうかという点については、はっきり言って飲んでいる人は実行しにくいでしょう。確かに「何を飲んでもいい」には酒も含まれるのだけれど、ただ飲酒習慣があると、当然ながらだらだらと食べて飲んで午前様とかになりがちだからです。そうすると、少なくとも翌日の夕方4時まで何も食べられない。もちろん二日酔いの場合、そうしたことは起こりがちで、私の場合などは一年のうちかなりの日々がそうでした。そして確かに太りませんでした。ですからこれは「ダイエット」という意味ではいいのですが、健康的には最悪です。逆に言えば、このような呑兵衛の二日酔いダイエット(?)が存在しているということは、16時間断食はダイエットに有効である証左かもしれません。
話があちこち行ってすみません。本題に戻せば、飲む習慣がないと、夕食を早めに切りあげることができます。ましてや断酒者は、これが得意中の得意……というよりも必須です。なぜなら、お腹いっぱいですぐ寝るは、断酒にもっとも有効なメソッドの一つだからです(参考「睡眠は断酒の、断酒は睡眠の、最高のパートナーだという話」)。
たとえば8時に食べるのをやめて10時に就寝してしまえば、翌日の12時からはまた食べられるのでかなり現実的です。学校の先生などで職場で給食が出るようなケースであっても十分可能だということです。酒さえ飲んでいなければ。
ともあれ、16時間断食がやりやすいのは、断酒者のおおいなる特権であると都合よく考える次第です。逆に16時間断食をやるなら断酒、ということですよね。