酒やめて、1001日。
酒で倒れたけれども、「帰ったら飲もう」
私が断酒をしたのは、多くの禁酒者・断酒者と同様に酒で倒れたからです。そのあたりの経緯については、おいおい書いてかせていきたいのですが、ただ健康のために断酒したかといえば、そんなことはありません。「健康を保つため」なんてことは、私のような飲酒者にとっては、まったく取るに足らないことでした(笑)。
が、ともかく、体質を根本的に改善しなければならないのは明白で、当面禁酒してみることにしました。ただし倒れた当日は、医師の診断中も「帰ったら飲もう」と計画(?)していました。
結果的にそうならず、これまで千日間断酒を続けてきたわけですが、これはもちろん私が性格的に意志強固だったわけではありません。いや、もう人一倍、意志薄弱です。「意志が弱い」と親や先生などからさんざん言われ続けてきた人生でした。
だから飲酒時代は、酒をやめなきゃなあと思っていたけれども(もちろん医師からは厳しく言われていました)、ただその一方で、止められないだろうなあ、きっと酒で死ぬんだろうなあ、という諦観を持っていて、実に愚かしいことに、それが「かっこいい」と思っていたのです。ホンモノの馬鹿でした。
それがなぜ断酒を千日続けられたかといえば、もちろん細かいテク(?)みたいなものは山ほどあります。断酒ブログも読み込みましたし、そこで多くの知恵を学ばせていただきました。本当にありがたかったと思います。しかしそれだけではあれません。意志やメソッドだけでは断酒は続かないというのが、今の、素にして朴なる思いです。
今の社会状況が、酒をやめさせてくれた!?
そのことを一言で説明するのはとても難しいのですが、以下のような考えを持つに至っています。
「イノベーター理論」というマーケティング理論があって、新しい事象への適合の度合いから、世の人々は「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」と分類されるそうです。
「ラガード」とは聞きなれない言葉ですが「遅滞者」と訳され、時代をキャッチアップできない人と定義できます。
僕の仕事の関係者や先輩のなかにはあきらかに「ラガード」な人がいます。卑近な例では「インフルエンザの予防接種などしない!」と断じている人がいて、その理由は「今まで罹患したことがないから」です。「経験則をエビデンスにする」という前時代的な考え方をしていて、私がこうした発言をどこで聞くかというと、酒の席であったりしたのです。
いやいやいや、もちろん他人のことは言えなくて、私だって他者に接する機会が多い仕事ではなくて、なおかつ日常的に酒を飲んでいたら、「インフルエンザ予防接種代があれば、一回飲める」というふうな思考をしていたに違いありません。そういう自分も含めて、酒というもの、飲酒をするという行為が、今では私にとっては「ラガード」のアイコンになっています。
そして今の私は、「イノベーター」「アーリーアダプター」と呼ばれる、あるいはそうした指向を有した人々とともに新しい時代に踏み出したい! 自分にとってラガードのアイコンである酒をfar behindに置いて。これはもう、なんというか本能的なものであり、だからこそ、意志の弱い私が千日以上も断酒を続けていられてると言っていいのかもしれません。