酒やめて、２９４８日
上手に酒から離陸できる人間は確かにいるけど
先週末に、ちょっと話し合わなきゃいけないことがありまして、学生時代の仲間と半年ぶりくらいに集まったのですが、酒の席とて「酒と年齢」みたいなテーマにも話が及ぶわけです。
そこで感じたのは、年齢とともに「もう飲まなくていい」という人間は一定数いるということです。以前も書きましたが、２杯程度飲んだらもう後はお茶でもいいというタイプで、昔はそこそこ飲んでいたけど年齢とともに飲めなくなったとのことで、このテの人は上手く酒から離陸できた人と言えるでしょう（参考「余計なお世話ながら、飲酒者の「着地点」を考えてみまして」）。ただし私がかかっている医師によれば、酒は100年殺し……と医師が言ったわけじゃないけれど（当たり前だ）、過去の飲酒歴は、齢食ってから確実に身体に現われるとのことです。酒は許してくれないですよ（悲）。
ともあれその伝でいえば、私は絶対に自然には離陸できないし（威張ることじゃないが）、飲まない理由を訊かれれば、飲み始めたら潰れるまで飲まないと気が済まないので、つまり、みんなのように適切に切り上げることができないので、ということを強調します（まったく威張ることじゃない）。
でもってそれに関連してですが、酒の失敗談みたいなこと――たとえば武蔵小山で飲んでいたはずが気づくと朝霞台の駅で寝ていたとか――を話すと、「それブラックアウト、めちゃやばいんでしょ」などと妙に皆さん事情通で鋭い指摘をしてきます。ただ私としては、そのテのことを本当に普通に言えるようになりました。受けを取りたいという下心（？）もありますが。
逆に飲酒時代はそうではなかった。ジャクソン・ブラウンの名曲に「The Pretender」がありますが、まさにpretenderでしたよ。もっとも件の曲は、理想があるのにも関わらず自分を偽って生きているという高尚な内容ですが、私の場合、自分が酒の罠に囚われてしまっていることを悟られないためにプリテンドしていたのだから、当然ながら次元がまったく違います。
プリテンドするのは疲れるのだ
このような「プリテンド」はよく指摘されるところで、アル中の証明にもなることは今ではよく知られています。いわく「自分でコントロールできている」「俺は適正飲酒者だ」「飲まなければ飲まないで済ますこともできる」「あいつほど酷くない」「仕事はちゃんとしている」などが有名どころ（？）ですよね。
むろん私もそうでありまして、飲み会などで「よく飲むねえ」などと言われると（それで気づいて周りを見渡すと、みんなのペースが異常に遅く見えた）「やっぱモト取らなきゃ」などとごまかしたり、健康診断の結果を訊かれると、ガンマの数値を1/4程度に過少報告したりしていました（それでも「200」だったりでびっくりされるのだが）。その手の、小さな嘘を積み重ねていたのです。で、嘘を嘘で取り繕い、あげくどんな嘘をついたか分からなくなるという犯罪者心理とでも言いましょうか、そんなふうになっていました。いやいやいや、犯罪者の気持ちがよくわかりましたよ（そして絶対に自分は刑事の取り調べに耐えられないと思っていた）。
こういう生き方は、ほんとにストレスが溜まるものでして（自分でやっておいてこう言うのもナンだが）「酒飲むと疲れるよ」のなかには嘘疲れ（？）みたいなものも含まれていました。
でもって酒をやめてから、昔の酒との付き合い方も含め洗いざらい話せるようになった。とにかく自分の状況に嘘をつく必要がなくなったというのは、なんというかもうめっちゃラクなんですね。
酒やめて、自分の人生が快適になったとしみじみ感じていますが、プリテンドしなくてよくなったことも、その一助になっていると思われます。何してもありのままの自分で生きられるというのは、いやいやいやラクなもんですわ。
て、そんなのは普通の人は当たり前のように意識せずともやっていることなんでしょうけれども、酒を飲んでいると、ごまかすことが人生の習い性になり、それが澱のように溜まって、自分で自分を苦しめる。そう、自分で自分を苦しめるのも過飲酒習慣の一局面だと思いますし、そこから解放されたというだけでも、酒というものを手放す価値があったなあとしみじみするのでございます。
冒頭に「上手く酒から離陸できた人」と記しましたが、むろん断酒erとて酒から離陸した者ではあります。こちらは、いわば強制離陸ですよね。で、重要なのは、
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