酒やめて、1638日。
割り勘で上司の説教を聞くですと!?
ずいぶん前ですが、「あの夜、バーで出会った人のこと」という記事を書かせていただきました。飲酒時代、とあるバーで見知らぬ方(おっさん)にモエをゴチになったのですが、実は有名人であり、以来、その方の活躍ぶりに断酒者としてインスパイア(おおげさですが)されるところが大きい、てな話です。
で、先日、資料を整理していたらその方の本が出てきたのでフムフムと読み込んでしまい、さすがいいこと書いているなあとあらためて感心したのでありました。感心した箇所はたくさんあるのですが、とくに着目したのはここです。
軽く夕食を摂ろうと近所の小料理屋に行くと、隣のテーブルで4人のサラリーマンが飲んでいました。ひとりは40代くらいで「課長」と呼ばれています。残り3人は部下らしく、20代後半から30代半ばと見えました。
(中略)
この課長が結構、説教タレで、飲んでる間もいろいろ仕事について部下たちに注意を与えています。
(中略)
そして、ようやくお開きとなったとき、驚くことが起きました。店員さんが持ってきた勘定書を見て、みんな同額を出したのです。部下たちは慣れているのか、淡々とお金を出して引き上げていきました。
(中略)
割り勘ということは懇親会でしょうか? だとしたら大失敗です。課長はどうあれ、部下たちが内心迷惑がっていたのは間違いありません。
(中略)
ボクはこんな飲み会ほどムダなものはないと思っています。(中略)部下たちのマイナス感情を不足させただけだと思います。
野呂エイシロウ著『ネクタイを毎月3本買う人はなぜスゴイ仕事ができるのか』(祥伝社)
今、こういうことは日本中で起こっているのでしょうね。私も以前、書かせていただいています(参考「会費制飲み会で、もれなく説教までついてくるなんて、こんな理不尽なことはないですよ(怒)」)。
割り勘で上司の説教なんて最悪です。
私が大昔、会社員をやっていた頃(もちろん大酒かっくらっていた頃)は、別に自慢するわけじゃないですけれども、酒席で上司に説教されることはありましたが、お金払ったことは一度もないです。これは多くの同世代に共通することだと思います。
おまけにちょっと下の後輩なんて、上司や得意先と飲むにあたって「残業代がつかないなんておかしい」と本気で言ってましたからね。さすがバブル世代というほかないです。私はそこまでいかなくて、タダ飯タダ酒なら説教なんてどうってことないというクチでした。
とまあ、好景気時代の話をすると嫌われるのは承知の上で続ければ、私などは社内報の新入社員紹介欄に「趣味:飲酒」と書いた大馬鹿者だったせいか、他の部署の部課長クラスのお誘いも多く、新入社員の給料ではとても行けないようなお店に連れて行ってもらい、かなりの役得だったと思います。
実はいまだに会社員時代の上司の一人から銀座に連れてってもらったりしているのですが(もちろん酒は飲まず、おねえちゃんとメルカリの購入履歴の見せっこをして遊んでいる←馬鹿)、そうした経験からすれば、割り勘で上司と飲むなんていうのは到底考えられないです。
「割り勘」が酒離れを加速させる
ただ今は、上司の立場からすれば、部下と飲食するにあたって経費は使えません。そのあたりが、私が会社員だった時代とおおいに異なっているところでしょう。
もう日本の経済がそういうふうになっているのですね。上司と飲みに行っても割り勘。しかし部下からすれば、繰り返しますがこれはたまったもんじゃない。ではどうすればいいかといえば、一番手っ取り早いのは「酒飲まない」ですよね。そうすれば、上司とも社外での距離を置きやすいですし。
そんな簡単なもんじゃないよ、というムキも当然あるでしょうし、断酒者都合の理屈かもしれません。ただ、これだけ雇用が不安定ななか、自腹で上司と嫌な時間を過ごすことの見返りも限りなく小さくなっていますし、一方で本当に大切な付き合いは、会社を離れても、酒を飲まなくても、続くときは続くと個人的には思っております。逆に続かなければそれまでだったことと思い込むようにしています。
さらに社会環境そのものも変わっています。「部下に社外で割り勘で(あるいは割り勘でなくても)説教する」は、いずれハラスメント認定されるでしょう。
コロナ感染拡大もあって、飲酒行為の「ワルモノ」感はどんどん高まっていく……かどうかわかりませんが、少なくとも、「割り勘説教」に代表されるように雰囲気としてダサい認識されていく方向には世の中進んでいくのは間違いないでしょう。
先に引用した本でも、「目的がない明確でない飲み会は極力パスしましょう」と部下の立場から提言しています。
いいぞいいぞって感じですね。断酒者および断酒の入り口にいる人にとっては。