「少量の酒なら健康にいい」「酒は一滴でもNG」論争は、脳への影響を無視してはできない件。

酒やめて、2172日。

人類はずっと騙されてきた!?

酒は百薬の長のはずでは? 少量でもNGの最新事情」という記事を、私がTwitter上で勝手に断酒仲間認定させていただいている「MJ」さんがあらためて取り上げていて、ふむふむと読んでみた次第です。

現在は「少量の酒なら健康にいい」と「少量でもNG」がせめぎあいをしているとも言えそうです。

そもそも「酒は健康にいい」は、中田敦ちゃんによれば、2000年前の中国の王朝である新の皇帝・王莽が徴税のために考えたキャッチフレーズだそうです(参照「【お酒をやめる①】酒は百薬の長ではない?アルコール依存の危険性とは?」)。

王莽といえば、三日天下(実際は十数年だが)の印象が強く、なんとなく間抜け感が漂っていましたが、かなりの「ワル」というか「策士」だったのですねー。で、このプロパガンダを2000年以上人類は信奉してきたわけですよ。さすがに人類の進歩(?)とともに「酒は健康にいい」ではなく「少量の酒なら健康にいい」となりましたが。

ところがここに来て様々な研究から、少量の酒でも身体に良くないということが明らかになりつつあります。「MJ」さんによれば、以前は、先の記事でも紹介されていた「Jカーブ効果」(適量を飲む分には死亡率が下がる)が、厚生労働省のホームページからも消えているそうです。

ただし、あいも変わらず酒のTVコマーシャルはガンガン流れています。こういうのは先進国の中で日本だけという状況らしいですが、これもメディアや広告代理店と酒造会社が切っても切れない関係にあるからでしょう。かつて電通では、自動車会社担当より酒造会社担当の方がエリートだったらしいですからね。

また広告代理店の仕掛けといえば、90年代にはワインブームが巻き起こり、「少量の酒なら」というよりも、ズバリ「ワインは健康に良い」とあからさまにアピールされました。飲んで健康になれるんだからこんな良いことはないわけで、全国の酒飲みがそれを歓迎したのです。むろん私もです。

そんな経緯がありまして、そして今は「少量の酒でも悪い」がだんだん定説になりつつありますが、ただ繰り返しますが、いまだにオールドメディア(と広告代理店)はとにかく酒造会社大好きですから、「酒の効用」についても未練ありありであることが透けて見えます。

少なくとも「脳」へは一滴でもNGです

さて、「少量の酒なら健康にいい」vs「少量でもNG」について、「はい論破」じゃないですけれども、この記事で語られてないことがあります。脳への影響です。

身体に関しては、今は「せめぎ合い」かもしれません。しかし、こと脳に対しては一滴の酒も良くない。これは定説です。

なおここでいう「脳」とは、脳梗塞などの特定の病気のことではなく(脳梗塞や脳出血と飲酒との関係は先の記事でも触れている)、脳の性能そのもののことだとご理解ください。

いわゆるクリエイターと呼ばれる人たちのなかには、酒によって覚醒し、つまり酒(あるいはクスリ)によって創作の神を降臨させて、それによって作品を残している人もいます。しかしそれは、自分の脳の力を強制的に引き出し、そしてその代償として脳にダメージを与えるということですよね。

彼らはたとえば廃人になる代わりに作品を残せるのでまだ報われるのかもしれません。でも一般人はマネしちゃダメ絶対、です。

それはともかく、ちょっと前までの社会構造であれば、あるいはもっと昔のように平均寿命がきわめて極めて短い時代であれば、酒を飲んで脳の性能が低下しようが、ちょうどいい頃合いに働かなくてもよくなったり、ちょうどいい具合に死ねたわけですよ。

しかしこのブログでも散々書いてきたことですが、死ぬまで働けの時代になってしまった今は、昔に比べて長くなってしまった寿命が尽きるまで、脳の性能を保持しなきゃいけない。サバイバルという意味でもそうですし、また老後の保障が万全でなく認知症にでもなったら(飲酒と認知症の関連についても明らかになっています)、「わかりやすくいうと地獄」ですね。

なので、脳(の性能)への影響ということを考えつつ、社会と自分をすり合わせ、飲むか飲まないかを判断するということは、もはやすべての人類に課せられた人生設計上の課題だと思います。プロパガンダに騙されずに。

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