酒やめて、2088日。
知的スキル保有者があふれかえっている日本
ちょっと前ですがTwitter上のトレンドワードになったものに「非正規図書館員」があります。貧困のコンテンツ化でPVを稼いでいる(ように見える)『東洋経済オンライン』が記事(「手取り9万8千円で働く「図書館司書」の悲痛な叫び」)にしましたが、この記事のもとになったのが件の非正規図書館員によるネットで署名であり、これは現在も賛同数を伸ばし続けているようです。
ここで訴えられていることを乱暴に要約してすると、
①スキルに見合った待遇が欲しい
です。
一方、Twitter上などには批判もあり、これまた乱暴に要約すると、
②やりたいことをやっているんだからいいじゃないか。その仕事をやりたい人はたくさんいる。待遇に不満なら、もっと待遇の良い仕事はある
になります。
この①と②を考え合わせると、図書館員としての仕事をこなせる知的レベルの高い人が日本には多すぎ、だからやりたい人もたくさんいて需要と供給のバランスが取れず、高度なスキルを要求するわりには低待遇になってしまう、ということになるのでしょう。「やりがい搾取」という言葉も使われますが、このような事情は日本独特のものかもしれません。
ここで私が思い出すのは自分の亡母のことです。いや、知的レベルが高かったわけでは決してないのですが、母は数十年にわたって点字図書館で朗読ボランティアをしていました。それがある意味、生きがいになっていたと思います。お仲間も同様のようでした。
そしてこう言ってはナンですが、自分は知的だと思っている世の中のばあさんたち(失礼!)にとっては、知的な労働である朗読奉仕は、無償でもやりたいものなのですよ。
点字図書館の方でもそれを利用している……といったら申し訳ないですが、まあボランティア前提なのでしょう。ボランティアでもやりたがる人がたくさんいるから、殊さらにギャラを払ってやってもらうまでもない、ということで、これもやはり「やりがい搾取」の一局面でしょう。
そして冒頭の図書館員の仕事などは、朗読奉仕の高齢者にとっては「ボランティアでもやりたい」仕事であると思われます(実はここにも、今の日本の「高齢者がすべてを奪う」構造があるのですが、とりあえず措いておきます)。
誰にもできない「経験」こそ、自らの存在を突出させる
こうした事情は、クラウドソーシングで募集される知的ワークも同じかもしれません。たとえばライティングは「文章を書くのが好き」な主婦のアルバイトとしてもてはやされたりしましたけれども、今では単価がものすごーく安くなってしまっています。やりたい人がたくさんいるからで、図書館員や朗読奉仕と同じ匂い(?)がします。
今、クラウドソーシングでおそらく一番需要があって供給が少ない(したがってギャラがいい)のはウェブ制作関係だと思いますけれども、なぜならこの分野はトライアルエラーの蓄積がものを言い(たぶん)、その経験こそ貴重だと認識されているからではないでしょうか。
繰り返しますが、今の日本においては知的スキルの供給がめちゃ多く(そもそも教育体制がそうなっています)、だからこそ冒頭の「非正規図書館員」のようなことが起きます。そしてそこから抜け出せるのは、誰もがなしえない「経験」を武器に仕事をしていくしかない。でもってそれを阻害するのが「飲酒」ですよねー。と、いつも書かせていただいていることですが、確実に言えることだと思いますねー。
やっぱり飲酒は、経験チャンスを奪うのですよ(参考「酒ばっか飲んでると、行く店もモノラルになり経験値が低くなっちゃうよ!」)。
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