ほんとに時代なんて、ある瞬間にガラッと変わってしまいますよ。酒についても!?

酒やめて、2918日

「テレビは容赦ないことをする」

しかし、今回のフジテレビの一件で、ほんとに時代の変わり目を目撃している思いがしますよ。フジテレビが今後どうなるかわからないけれども、そして女性に対するコンプライアンスなどはむろん変わっていくだろうけれども、番組づくりの姿勢も確実に変わるでしょうし、それは当然、他のテレビ局にも波及するでしょう。

はからずも一昨日亡くなった森永卓郎さんの息子さんだか事務所だかが、マスコミの方ご遠慮くださいといった声明を出していましたが、こうしたことも今後は「デフォ」になるのではないでしょうか。

ちなみにテレビ番組づくりの姿勢を、私の好きな宮脇俊三先生が著作『線路の果てに旅がある』の中で、旅の様子をテレビに取材された経験を取り上げて以下のように皮肉っています。

(テレビ)ディレクター氏が、「比布の駅名標を車内から撮りたいのですが、どのへんにカメラをかまえたらよいですか」と訊ねる。

(中略)車掌に訊ね、このあたりでしょうと教示され、そこに坐っていた客に、申しわけありませんがと席を移してもらい、代わりに(同行の車)だん吉さんと私が向かい合って坐る。

比布に停車した。私たち二人のあいだの窓の外に「比布」の駅名が、という趣向だったが、こんな芸当がうまくいくはずはなく、徒労に終った。

(引用前掲書・改行などは引用者都合)

このほかにも、(鉄の間で人気の)音威子府の駅そばのおばさんに早出させ三回も四回もそばをつくらせたあげく、その場面は放映されなかったとも述べています。「テレビは容赦ないことをする」と。

実は私の父もかつて民放に勤務していたのですが、野外中継でディレクターをした際、なだれ込む観客を制止できず、それがそのままテレビに流れてしまったという事件(?)がありました。しかし野外という公共の場で、むろん警察に届け出てはいたのでしょうが、一介の民間会社が群衆を制御しようとするなど、今の感覚からすれば思い上がったやり方とも言えます。大昔のこととて、観客の顔などもお構いなしに映していましたし。

「他者をがんにする」が決定的だった!?

それと対象的なのは今のYouTube番組であり、旅番組などにおいては、もちろん関係ない方の顔にはモザイクがかかりますし(だから時として全面モザイクになったりする)、あるいは中継の場合、小声で話すなど、なるべく周囲に迷惑をかけないようにやっていることが伺えます。そして重要なのは、我々視聴者がそれでも全然かまわんよというふうに気づいてしまったことでしょう。

冒頭の宮脇先生は「車窓はテレビより面白い」という名言(著作名でもある)を残しましたが、そのテレビよりも面白い車窓に近いかたちで中継してくれるから、YouTube番組はありがたいのです。逆に言えば、つくり物のテレビは面白くないということです。宮脇先生と車だん吉さんが向い合せに坐り、その間に比布駅の駅名標が映ったところで、それがなんだという感じですね。

このように我々の感覚も変わってきていて、そういう思いが醸成されていたところに、フジテレビの一件のようなことがあると、時代はガラッと音を立て変わってしまうと思われます。

で、酒さんとの絡みになるのですが、おそらく酒に関しても、「酒って何かダサイよね」という時代の空気は醸造されているのでしょう。断酒er独善かもしれませんが、どーも世の中全体の雰囲気がそうなりつつあると感じます。むろん、酒を飲んで楽しいことは人並み以上にわかっているつもりだし、社交を促すための酒という伝統的な機能は世の中がどのように変わろうが残るということを認めるにやぶさかではありません。

しかし飲酒運転がその代表ですが、酒があるがゆえに全然関係ない他者が迷惑をこうむる、最悪、命を奪われることは、「理不尽」であると世の中のみんなが考えている。そして、これまで酒を擁護していた芸能人やオールドメディアに対しても、世間が抜きがたい違和感を覚えている。こうしたところに決定的な何かがあれば、フジテレビの一件でオールドメディア全般がアウト・オブ・デイト扱いされ、コンテンツづくりの姿勢の転換が迫られるように、「流れ」が大きく変わるってことですよ。

ここでタバコのことを言えば、タバコが世間的に葬られた決定的な何かとは、やはり副流煙であり、それは「タバコは他人もがんにする」ということですよね。レプリコンワクチンで一躍有名になった(?)「シェディング」みたいなもんです。そして酒についても、そのような「決定的な何か」があれば、と、フジテレビの一件を見るにつけ、考えてしまった次第であります。

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