私のような人間にとって、断酒は能力の低さを補ってくれる武器でもある。

酒やめて、2276日

「天才」を参考にするなって話ですよ

世の中には、飲酒習慣がありつつも能力を発揮する人ももちろんいて、「最高」はたとえば中島らもさんのような天才ですよね。中島さんの場合、酒で命を縮めたわけですが、こと作品を残すという意味では酒体験をテーマにした小説やエッセイも多く、才能の発露と飲酒が渾然一体となっています。雑な感想で申し訳ないですが。

また、よく言われるのが、酒で創作の神が下りてくるということです。これは一時的な覚醒なのでしょうが、上手く利用できるのもまた天才特権なのかもしれません(参考「マッキーの一件でわかった! 酒飲んで何かが降臨するのなら、それは酒イコール危険ドラッグってことですよ」)。

でもってそうした創作の天才を最上とするならば、底辺が私のような酒で仕事をダメにするタイプであります。でも実はさらにその下があり、それは、俺は飲んでも仕事はきちっとやっている( -`д-´)キリッと言いつつ客観的に見て仕事が雑になっているケースです。こっちの方が底辺度は低いと、私は勝手に思っています。

さてそうした中、いつも書いていて恐縮ですが、酒をやめると時間がわさわさと湧いてきます。そしてこの時間というものを味方につけることができます。ですから私のようなフリーランスの場合、一つの仕事を時間をかけて丁寧にするようになる。それは能力に関係なくできることできることです。つまり、時間で能力をカバーするわけですよ。当たり前と言えば当たり前ですが、私はそのことのありがたさをかみしめています。そして信頼を回復することも結果的にはできました(と勝手に思っている)。

もちろん、これまたいつも書いていていますけれども、その時間を本業以外の副業や勉強に振り向けることも可能であり、こちらの方がより人生に対するインパクトが大きく、とくに組織に所属している方はそうだ思いますが、とりあえず今回は本業のクオリティが上がるということに絞って話を進めさせていただきます。

能力が低いなら時間をかければいいじゃない

繰り返しますが、私のように能力が低い人間でも時間を担保にすることによってその能力の低さをカバーできる。そしてその時間を生み出すのが、酒をやめるという行為というわけですよ。

いやいやこれはまったくの実感でして、そして大きいのは仕事のようなことでも――私などはあまり仕事をするのが好きではないのですが――まあ真剣に向き合っていると、多少ながらもドーパミンらしきものが出てきて「乗って」できるということですね。これは、酒飲んでいた時代はついぞなかったことでした。

これは酒で一時的に覚醒するのとは違って、長い時間「(多少は)乗る」ことができるので実効性があります。

またこの「時間で能力をカバー」というメソッド(?)は、自分の人生の時間軸にも適用できます。

若い時だったら、飲酒習慣がありながらもなんとかやれたことがだんだんとできなくなり、それでも酒を飲み続けると、私のようなフリーランスの場合、どんどん「詰み」が近づいてきます。そうした老化による能力の低下も、断酒がカバーしてくれるというふうに言えると思います。

かえすがえすも当たり前の話で申し訳ないのですが、酒をやめたということを、自分の能力だと自覚することによって、なんというか新しい道が開けるのではないかとそんなふうに思っている次第でございます。

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