酒やめて、2054日。
「なにもしなければ余命半年」ですと!?
酒やめて5年半経つというのに、こともあろうに肝がんになってしまった断酒者であります(参考「断酒して5年半になるのに肝がんとか。そりゃないやろー(悲)な話」)。誰にも聞かれちゃいませんが、発覚までの経緯を簡単に記しておきます。
どうもここのところ脇腹が痛いというか違和感があるなあと思っていたのですよ。いつからかと医者にも訊かれたのですが、数年前からのような気もするし1ヵ月くらい前からのような気もするというきわめて曖昧なものでした。意識するほどのものでもなかったからです。ただ最近ちょっと起き抜けに痛みが増すなあと感じ、以前、高脂血症の薬をもらっていたかかりつけ医院に行ったのですね。それが、先月の20日のことでした。
CTを撮ってもらい、その画像を見たところ腫瘍があると。ただしその時点ではそれが悪性なのか良性なのか判断がつかず、肝臓専門の先生が毎週土曜日に来るということなので、その時点から1週間後の土曜日を予約しました。その間、出張があり、なんとなく重い気分で出かけたのです。さすがにがんってことはないやろーと思いたかったのですが、ただ年齢も年齢だし、飲酒歴のこともあるし、あまり楽観的にはなれなかったのですね。
そして翌週、肝臓専門医に画像を見てもらい、さらにエコー検査した結果、たぶん、がんだろうということになってしまったのですよ(悲)。
そして、デカいことはデカいけど場所的に切除はおそらく可能であり、また肝がんは転移の可能性が少ないという話を聞いたのでした。その時点で、次のような選択肢がありました。
①切除した場合、あと10年や15年、普通に生きられる。
➁切除できない場合、抗がん剤治療になる。
で、私はよせばいいのに、なんにもしなかったらどうなるんですか、て訊いてみました。自然にがんが消えた、なんて話もよく聞くところですし、そこに一縷の望みを賭けた(?)のです。そうすると、
③余命半年
とのことでした。
いや、これは結構うろたえました。美奈さんに黒色肉腫であることを告白された星飛雄馬の気分でしたよ。
「余命半年」をテーマにしたコンテンツはわりとあるようですが、余命半年のおっさんじゃシャレにもなりません。
むろん、切れば生きられる、たぶん切除可能ということは大前提としてありましたが、ただ「余命半年」は強烈で「メメント・モリ」してしまいました。
やっぱり意識は変わりましたね
病院から帰るクルマの中、音楽はランダム選曲なので、我々世代にとっての青春曲の『カンナ8号線』がかかったりして、なぜだか涙がポロポロ出たりもしました。余命半年(仮)のおっさんがおっさん中二病になってるわけですよ。まったくもってシャレになりませんわ。
でもって、具体的にはやっぱり娘にどれだけ残せるのかということを考えました。とりあえず個人年金は遺族に残せるタイプのものだったと思うから、これは手続きせにゃならんやろなあとか、私の父よりも私が先に死んだ場合、きちんと代襲相続てやつをできるように、とか。そしてかなり悩んだのですが、娘の母親に連絡を取ってみたのでした。そうした場合に何らかの力になってくれないかと。
そうすると案の定、先方の返答は「お・こ・と・わ・り」で、まあそりゃそうだわな、とある程度冷静になり、なんだ俺のやってることって死ぬ死ぬ詐欺やんと思ってしまったのですね。
ただやっぱり意識としては、「それ以前」と「それ以降」になったような気もします。
人は余命を意識したときに、自分の残された社会的使命を考え、仕事を完遂させたいと熱望するのではないか。アル中→断酒大先輩の小田嶋隆さんなどはまさにそんな思いで遺作の『東京四次元紀行』を書きあげたのかもしれません。ただ私の場合、そういうことはまったく考えず、というか自分の生まれてきた意味みたいなことに真剣に向き合うと辛くなりそうなので、あえてその辺は封印し、そして考えたのは、酒やめてから「好きなことやってやってもよかろうもん」で生きてきたけれども、それをさらにバージョンアップ(?)させてもよかろうもん、ということです。
で、好きなことといえばやはりサーフィンなのですが、激しい運動は禁止となったので、じゃあもう前から欲しかったヴィトンのダミエのバスティーユでも買ったろうかいっ! みたいな非常に低俗な方向に思考が行くのでした。我ながら情けないというか、ただそれで救われた部分もあって、このような思考回路を得ているのもやはり断酒しているからなのかとも今は思ったりもします。
また、酒やめてある程度、諦観なり開き直りが身に付いていると、「余命」も淡々と受け止められるのかなあとも思いましたね。もちろん、余命半年と決まったわけではなく、生きるつもりでいますけれども。だいたいサーフィンにしたって、本当に余命半年ならやればいいわけで、医師の言いつけを守ること自体が生きる前提になっているわけで。つまり、この記事も、死ぬ死ぬ詐欺になってますな(汗)。
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