酒やめて、1069日。
私は『聖闘士星矢』をリアルタイムで見た幸せな世代です(ジジイともいいます)。『聖闘士星矢』は世代を超えて世界中で愛されているコンテンツなので説明する必要もないのですが、そのなかで主人公の星矢以上に人気があったのが、サンクチュアリの一二宮を守護する黄金聖闘士12人ですね。
「蟹は嫌だー!」で絶望する子も?
黄金聖闘士とはこれまた説明の必要がないと思いますが、太陽の軌道である黄道上に位置する12の星座に守られた最強の聖闘士で、要するに星占いに出てくる牡羊座牡牛座双子座蟹座獅子座……というアレです。
この12人にも人気ランキングがあり、その落差が非常に大きいため、世の蟹座および牡牛座の子たちは絶望に陥ったとか、「ハズレ星座」なる言葉まで生まれたとか、悲喜こもごものエピソードを生んだといいます(そうだったかなあ?)。
私は蠍座なので、黄金聖闘士のなかでは中位クラスです。可もなく不可もなくという感じですかね。ただ登場順が早くその分目立っていたので、おおいに満足でした(笑)。それまではなにかとイメージが悪かった蠍座に生まれたことを、生まれてはじめて感謝した次第です。下の蠍座の黄金聖闘士のおかげで堂々と自分の星座をカミングアウトすることができたのです。
ではそんな黄金聖闘士のなかでどの星座の聖闘士が一番人気があるかといえば、それは双子座(双子座なので二人いる)と乙女座でしょう。異論はオタの数だけあるとは思いますが、まあ一般的にはそうです(だから当時、双子座と乙女座は嫉妬の対象になった)。ここではそのうちの一人、「乙女座のシャカ」についてお話しします。
乙女座のシャカはすべての聖闘士の中でもっとも神に近い男と言われ、最強の実力を誇るのですが、いつも目を閉じているのです。なぜかといえば五感のうち一つを遮断することで小宇宙(=聖闘士のパワーの源のようなもの)を高めようというのですね。シャカの目が開いたときさらに強さがアップするという設定なのですが、それは設定としてあまり上手く機能していないのでここでは強引に無視します(笑)。それにビジュアル的にも、シャカは車田正美漫画の文法通りに超美形ですが、目を瞑っている方がさらにかっこいいです。
ところで宦官はなぜあそこまで影響力を持ったのか
さて、ここで唐突に中国の宦官の話になります。宦官というのも、聖闘士星矢同様説明の必要もないかもしれませんが、要は男性器を切り落とし生殖機能をなくした官僚で、皇帝の後宮、日本でいえば大奥の管理に従事しました。生殖器がなければ、女の園でも安心というわけです。
もともと男性器を切り落とすのは宮刑という刑罰で、宦官は罪人だったのですが、罪がなくても率先してこの宮刑を受け栄達を狙った宦官も多いといいます。
この宦官が中国の歴史のなかでは影のフィクサー的な役割を果し、三国志や水滸伝などでは常に悪役となるのですが、悪役にせよ実力者であったことは確かです。
ではなぜ実力があったかといえば、紀行作家の宮脇俊三さんがおもしろい仮説を立てています。つまり、性欲という人間のもっとも基本的な欲望を断っているからこそ、高度な政治能力が発揮されたのだと。
宦官もまた、目を閉じた乙女座のシャカなのですよ。
と、ここまで書けばお分かりの通り、断酒者も乙女座のシャカであり宦官なのであります。自分のもっとも基本的な感覚 や欲望を封印している。だからシャカや宦官のような超高度な実力を発揮することができる。
断酒すれば、あの神にもっとも近い男、憧れの「乙女座のシャカ」になれるんです! たとえあなたが蟹座や牡牛座であっても、です。そしてこうした思い込みもまた断酒モチベーションになります。天魔降伏!!