酒やめて、2212日。
乗りたいと思って35年が過ぎてしまったのだった
JRの3月18日ダイヤ改正が発表されまして、JR東海高山本線からキハ85系という特急車両が引退します。
といっても何のことだかわからない方も多いかもしれませんが、ただ、断酒というテーマにも結びついてくることなので、我慢して少々お付き合いいただければと思います。
85系特急車両は上に写真を載せましたが、1989年にデビューしています。JR発足直後、バブル期ということもあり、観光列車に特化した様々な工夫が盛り込まれた車両です。まあこの頃の日本は、なんというか意欲に溢れていましたよね。経済性とかそういうことよりも、いかに新機軸を取り入れるかが社会全体の指標になっていたと思います。ちなみに、キハ85系を置き換える新型車両であるところのHC85系は経済性指向のエコ車両であります。
さてキハ85系の特徴の一つに、座席の肘かけ上部と窓の下枠がツライチになっている点が挙げられます。昔の小田急ロマンスカーにも見られた仕様ですが、このような設計の車両に乗っていると列車に座っているのを忘れて、風景の中に放りこまれたような気分になって最高なのです。
と、エラソーに“解説”しましたが、乗ったことはありません。いつか乗りたいなあと思っておりました。そして高山や郡上八幡(高山本線ではないが)などを訪ねてみたかったのです。キハ85系デビュー当時は飲酒者だったので酒飲みながら、なのですが。
酒は人生から「体験」を奪います
私は出張の多い仕事をしていましたので、それにかこつけて自分が乗ってみたい鉄道車両にはわりに乗っていたと思います。飛行機で行けばいいのにブルートレイン(死語?)で行ったり、とかですね(自民党の石破茂さんもそうだったらしい)。ただし観光に特化した特急が走る路線、くだんの高山本線などは、あまり仕事とは関係ないので、自分で出かけなければ乗れないのです。
で、キハ85系に乗って高山や郡上八幡に行きたいなどということをいつも考えてたわけではないのですが、時々思い出してはいました。でも、実行されませんでした。それにはもちろん経済的な事情もあり、要は目の前の酒を優先した生活をしていたからです。
それがなんと足掛け35年ですよ、35年。威張っていうことじゃないですが。そしてキハ85系はついに引退してしまうのです。
なにをしょーもないことを嘆いているのかと思われる向きもあるかもしれませんが、これはほんの一例なんですね。酒飲んでいると、こういうことが多過ぎるのですよ、ということを訴えたいのであります。
酒を優先して、体験したくてもできないまま時間だけが過ぎていって、それが数十年にもなった、というわけです。
でもって、このケースでいうと、主たる目的はキハ85系に乗って大きな窓から景色を見ることで、そこでビールでも飲むのなら、それはあくまでも彩りです。酒は彩りを添えるもののはずです。これがビール街的な飲み方ですよね。
ところが、そうであるはずの飲酒が長期化深度化すると、人生すべてを覆うようになりなり、結果、経験レスに追い込まれてしまう。繰り返しますが、キハ85系に乗れなかったのはほんの一例であり、あらゆる経験が奪われてしまう(参考「酒ばっか飲んでると、行く店もモノラルになり経験値が低くなっちゃうよ!」)。しつこく繰り返しますがそれが35年ですよ。もちろん自分が悪いんですけど。
ともあれ今回、キハ85系引退のニュースを耳にして、失った人生の長さに愕然としてしまった断酒者でございます(悲)。
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