台湾におけるビンロウ文化は廃れてしまったようです。日本における酒文化はどうですか?

酒やめて、1882日。

台湾の人はアル中にめちゃ優しかった!

ロシアのウクライナ侵攻にアメリカが介入せず、もしこれでロシアになんらかの利がある結果を国際社会が容認すれば、中国も「な~んだ、やっちゃってもいいんやん」になるでしょう。日本人として他人事ではない戦争が、ますます他人事ではなくなります。ここのところ三回続けて取り上げさせていただいている小田嶋隆さんも、雑誌に「ウクライナが大変なことになっている……と思っているキミは認識が甘い。大変なことになっているのは世界全部だ。オレたちも全員大変なことになっている」と書いていますね。

さて、そんな心配な台湾情勢(ひいては日本情勢)ですが、私が最後に台湾に行ったのは今からもう十数年前。そのときは、できたばかりの台湾新幹線に乗りに行ったのでした。

飲酒時代の私は、乗り鉄し、流れゆく景色を見ながら飲む、ということを最上の飲酒シチュエーションとしていました。ですからそのときも、乗りに行ったのか飲みに行ったのか、といったところです。当時、台湾啤酒というビールが八割のシェアを占めていて(駅などでもそれしか売ってなかった)、1本日本円で80円程度だったと思います。安い安いてんで、かぱかぱ空けていたのを覚えています。つまりその頃はまだかろうじて、日本は世界のなかで金持ちの部類だったのでしょう(個人的にはまったくそうではなかったけど)。

そして当然のように、夜は夜で高雄の街に飲みに行ったのですが、飲み屋で知り合った人に、俺は台湾の国民的英雄のレジェンドスポーツ選手の娘さんと大学で同級生やったんやで~(実話)と、画に描いたような他人ふんどしの自慢をしたら、めちゃくちゃびっくりされて、まあなんというか、その方の目が完全に「リスペクト」になったのを覚えています。で、結局、泥酔してどこをどうやって帰ったのかまるで覚えていないのですが、朝、ちゃんとホテルの部屋で寝ていて、別にお金がなくなっていたわけでもなく、たぶん親切にしていただいたのでしょう(抱歉&謝謝)。

そして後から考えれば、ですけど、なんとなく台湾文化の一端を見たような気がしました。「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」てやつですかね(ちょっと違うかも)。

さて台湾文化と言えば、ビンロウが挙げられます。ビンロウとはヤシ科の植物だそうで、この実を噛むとある種の覚醒効果が得られるとのことで、要は噛みタバコですね。ビンロウの木自体は、それと教えてもらっていれば台湾乗り鉄していても普通に見るので、そういう意味では有史以来の嗜好品かもしれません。その点、酒と似ています。

ただしビンロウを噛むと繊維が口の中に残るのでこれを吐き出します。そうすると、路上に赤い染みができます。規制はされているようですが、私が行った2008年頃でも普通に見られました。これは台北や高雄でも、です。またエッチな格好したお姉さんたち(檳榔西施)が売っていることも一部で有名です。これも規制が進んでいて、2008年頃はもう台北や高雄にはいませんでした。ただ、たしか嘉義だったと思いますが、見ることができました。

とまあ、こうしたことからもビンロウ噛みは、あまりお上品ではない文化だということがわかったりします。ですから、若い人たちは忌避しているようです。つまりビンロウはレガシーのアイコンなのです。日本で言えば、歩きタバコの老害みたいな感じでしょうか。

酒とビンロウの共通点は?

と、ここで酒についてでありますが、酒という嗜好品はビンロウに比べるとそりゃかなり洗練されています。その背景にはやはり酒税制度もあったでしょうし、修道院の主要産業が酒造だったこともからんでいるのかもしれません。人類の歴史のなかで意図的に、上流階級お取り扱い物品にされてきたとも言えます。なにせ今でも、LVMH(ルイヴィトン・モエ・ヘネシー)というセレブ様御用達ブランドコングロマリットの一端も担っているわけですから。

だからそういう面ではビンロウと同一線上には並べられないかもしれませんが、一方で、ビンロウによる道路の赤いシミに似ている面もありますよね。それは街でゲロを吐いたりする酔っ払い……てなことになるのでしょうが、さすがにこれは絶滅危惧種なので、もっと一般的なことで言えばやっぱり花見です。

いや、花見自体は美しい日本の文化ですし、大切にしなければならないでしょう。ただ、これが「花見宴会」だと、やっぱり前時代的なみっともなさみたいなものが伴うわけですよ。外で大騒ぎしたりとかゴミの問題などもありますし。

と、するならば、酒もビンロウと同じようになる……かどうかはわかりませんが、たとえば花見宴会などは、ビンロウと同じくレガシーのアイコンだったりすることは事実です。案外こうしたことが酒の地位低下に結びついたりするのかもしれません。

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