ホンモノの適正飲酒者は、適正に飲んでいるなどとアピールしない。

酒やめて、2394日

appeal

攻撃は最大の防御、ですと!?

Amazon Primeで『メタモルフォーゼの縁側』が無料配信されていたので観ました。今年の6月に公開された映画がもうタダなのですね。どういうからくりなのかは分かりませんが。

芦田愛菜ちゃんと宮本信子さんの共演は『阪急電車』以来だそうで、評価が高いです。ただ私的には、いまひとつピンと来なかったのです。あのような展開に心の琴線を震わせる感性が、もはや失われてしまったのかもしれません(悲)。

さて、宮本信子さんというと故・伊丹十三さんの奥様ですが、この映画を観つつ、伊丹さんのエッセイに書かれていた一つのエピソード思い出しました。

あるとき、宮本さんが、白洲正子さんの着物の展示会に行った、と。そうすると、そこは上流階級っぽい女性たちでいっぱいだった。でもって、宮本さんは伊丹さんを、あなた、ああいう人種が好きなんでしょとやたら攻め立てる。それは宮本さんが、高価な着物を購入したことを報告するための伏線だった――。

これについて、伊丹さんはこのように嘆息します。

攻撃は最大の防御である

このエピソードについては、『メタモルフォーゼの裏側』の宮本さんではなく、『お葬式』や『たんぽぽ』の宮本さんが目に浮かんできます。そして映画『メタモルフォーゼの裏側』と違って、こちらは大いにピンときたのです。

というのは、自称・適正飲酒者という存在があるからです。

「自称」は、真正ではないのですよ

ここで唐突に自称・適正飲酒者が出てきましたが、彼らもよく「攻撃は最大の防御である」を用います。

すなわち、俺は適正に飲んでいるということを殊さらにアピールするのですね。このようなことはいつも書いていて恐縮です。なにしろ自称・適正飲酒者は、お前はもう一生飲めないけど俺は飲めるとマウントを取ってくる、断酒erにとってはうっとおしい存在なので。

それはともかく、「適正」がどの程度であるかについては、実は彼らが思っているほどではなく、その基準はもはや丸谷才一先生おっしゃるところの「キリスト様でもそんな残酷なことは言わなかった」レベル――すなわち、一日に缶ビール3分の2ほどです。また、これはあくまでも身体に対する「適正」であり、脳に対する影響を考えれば、一滴も飲まないのが「適正」であることは、断酒erの皆様ならご存じのことと思います。

だからホンモノの「適正」は、何かの時に乾杯するだけといった機会飲酒者でしょうし、そのような人は自分が適正に飲んでいるとは決して言わないものです。たぶん、酒を飲む飲まないを意識することもないのでしょう。

話を戻せば、自称・適正飲酒者の「適正に飲んでいる( ー`дー´)キリッ」は、明らかに「攻撃は最大の防御」です。自分の飲酒を指摘されたくないためにそのように言うのです。これまた今となっては常識かもしれませんが。

むろん断酒erは、他者の飲酒に対してあれこれ言う気もないし実際に言ったりしません。心の中で、まあ飲んでればいいさ、と優越感(?)を覚えるだけです。それを敏感に察しての「攻撃」なのかもしれませんね。はははははは、そう考えてみるとかわいいもんじゃありませんか。似非・適正飲酒者であるところの、自称・適正飲酒者も。

そして思うのは、断酒erも、ホンモノの適正飲酒者と同じく、酒を飲まないことをまったく意識しないようになりたいものなのでありますが、なかなかその境地に達することができませんねー。

と考えると、このようにブログを書いているのも「攻撃は最大の防御」の一環であり、ははははは、可愛いもんじゃないですか。

カテゴリ別インデックスページはこちらです。

にほんブログ村 酒ブログ 禁酒・断酒へ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする