酒やめて、1019日。
連日連夜、沢尻エリカさんの禁止薬物所持が話題になっています。そしてワイドショーなどでもいろんな人がいろんなことを言っていますが、私の印象に残ったのは加藤浩次さんの次のような発言でした(細かいところは違っているかもしれません)。「周りの人々の支えがあってこそなのに、なぜその周りの人を裏切るようなことをしてしまうのか」
元アル中者として、沢尻さんの気持ちを推測するに……
この発言は、酒に侵食されていない(?)一般の方々には、とても受け入れられやすいものだと思います。確かにまったくもってその通りです。芸能界という世界は、おそらくその「周りの人々の支え」が一般社会以上に命綱になっているのでしょう。そして加藤さんもそれを十分すぎるほどわかっていて「恩返し」を実践してきたからこそ、今の地位を築いているのではないかと思います。
沢尻さんには、それがわからなかったというのですね。しかしながら私は、沢尻さんの気持ちがものすごーくよくわかるのです。元アル中者として。
アルコール依存でも、たぶん薬物依存でもそうだと思うのですが、自分に対して善意で注意してくれる人でも、とにかく「諫言」は敵です。聞く耳を持たない馬鹿殿様になってしまう。
時代劇で言えば、「アル中の周りの人間=藩や民百姓のことを考えて殿様を諫めるご家老」、「アルコール=自分の栄達のため殿様に取り入ることしか考えていないお側御用人」、そして「アル中であるところの俺=馬鹿殿様」という図式になるわけですね。
耳に痛い言葉は聞きたくない
もっとも時代劇においてお側御用人全般は悪く描かれすぎで、それが史実の、お側御用人の代表である田沼意次の卓越した経済政策が正当に評価されない遠因になっている……、なんてことも指摘されますが、その辺は本稿の趣旨とは離れるのでとりあえず措いておきます。
ともあれアルコール依存になると、自分に心地良い言葉しか耳に入ってこなくなるんです。たとえば、「いくら飲んでもちゃんとしてるよねー」というホメ言葉(?)とか。そしてますます、耳に痛い言葉を遠ざけてしまう。
でも断酒すると、周囲の言葉すべてを素直に受け止めることができるようになるのですね。それが馬鹿殿様を目覚めさせ、「善政」を行わせるのではないかと(笑)。
最後に沢尻さんについて言えば、映画『パッチギ!』は波岡一喜さんのアレが強烈すぎましたが(笑)、沢尻さんの天使のような可愛さも、それと同じくらい強烈でしたねー(つまり超強烈だったということです)。また映画『クローズド・ノート』は、私はミステリ小説オタなので、あのストーリーをどうやって映画化するんじゃろか? と意地悪な視点で観ましたが、沢尻さんが難しい役を自然体で、というか天性の才能のようなもので演じていたのが印象的でした……。