酒は、右肩上がりの時代の飲み物ですよ。

酒やめて、3053日

社会という「大船」に乗れた時代もあったのだ

ちょっと前に「大投手米田哲也の没落(と酒)」について書かせていただきましたが(参考「「飲みたいのに金がない」は、人生の中でもかなり危険な事態かと」)、同じく昭和の大選手でも先ほど亡くなられた長嶋茂雄さんは、資産形成という点ではめちゃ上手くいったのではないでしょうか。余計なお世話ながら。その第一歩は、契約金で世田谷区に購入した不動産だったといいます(私はその家を子どもの頃、父親と一緒に見に行ったことがあるのだったw)。

でもって米田さんの一件でも明らかになったように、日本のプロ野球はMLBと違って独自の年金システムが機能していないので自分でなんとかするしかなく、したがって長嶋さんと米田さんのように明暗がはっきり分かれてしまうのでしょう。

そして重要と思われるのは、長嶋さんが不動産を買ったのが資産形成の第一歩だとするならば、それは必ず値上がりするという「システム」に基づいており、そこで上手くいったということですよね。

野球選手の場合、長嶋さんや米田さんの時代は、野球は野球でやって後は豪遊するというパターンだったようですが、それは、活躍すれば年棒が上がるのと同じように土地も買えば上がるという「上向き社会」が前提としてあったゆえでしょう。

昭和の時代におけるそうした傾向は一般会社員などではもっと顕著であり、年功序列システムが機能していたので、野球選手と異なり活躍しなくても(?)給料は上がる、むろん長嶋さん同様、不動産を買えばそれも上がる、てな具合だった。そんなふうに社会が後押ししてくれるので、仕事を一生懸命頑張れば(あるいは野球選手と違って頑張らなくても)、後は飲んでも大丈夫だった。そういう「社会という大船」にみんなが乗っていたのだと思います。

たとえば老後のことなどは、社会任せにできたわけですよ。もっと言えば、社会任せというよりも、今、苦しんでいる氷河期をはじめとした後継世代任せにしていたわけです。そういう制度設計がされていて、それに悠々乗っかっていた、と。

「自分でやれ」の時代をどう生きるか

ただしむろん今は違い、だからこそ国も「自分でやれぃ」と言っていて、その代わりにiDeCoなど税制上超絶優遇な年金制度をつくっています。なにしろiDeCoは「貯金した分が控除される」みたいなもんですからねー。

ともあれ、一生懸命働きさえすれば後は社会任せというライフパターンが崩れてきて、老後のことも含めて、自分でなんとかしなければいけない。そうした社会では、オンを頑張ればオフは酒飲めばいいという単純な話ではなくなります。

つまり、人生から「完全オフ」がなくなる。そういう人生と酒さんは親和性が低いことは明らかであり、もはや酒を飲まないことは、昔と違ってヒジョーに重要な意味を持ってきています。

逆に言えば、酒は右肩上がりの社会、社会が大船であった時代の飲み物というふうな結論になってしまうのであります。

原則として火曜日と金曜日の19時に更新しています。

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