酒やめて、1278日。
もうジーンズなんて履いちゃいられない!
若者のジーンズ離れということがもうずいぶん前から言われていて、先日もこんな記事がありました(参照「若者の“ジーンズ離れ”深刻化」)。
もちろん一言にジーンズといっても、いわゆる「自分で育てていく」タイプのデニム系ジーンズとポリウレタンを混紡したストレッチ系スキニージーンズ(これも「デニム」ですが)とは区別して考えないといけないのかもしれません。
若者が離れていっているのは主に前者のタイプ、つまりダウンタウンの浜ちゃんやさまーずの三村さんが履いているようなものですね。
そして後者は、もう前者に代わり(若者の)定番としての地位を確保してるのではないでしょうか。スキニージーンズがないと若者のおしゃれは完成しない、みたいな域になってますもんね。今は夏なので状況は異なりますが、近所の大学の(男子)大学生を見ると、昨冬までの場合、黒スキニーにパーカー、チェスターコート、足元はリーボックのポンプフューリーというのが制服のようでもありました。
では前者はというと、こいつはもう廃れてるまくってるでしょう。指摘されるまでもなく。
だいたい今の季節ならなおさら、リーバイスの501のようなデニム系ジーンズを履けと言われても、もう絶対嫌ですもん。履こうと考えただけで、なんだか太ももから汗がにじんできそうです。やっぱり酷暑化はジーンズ離れに拍車をかけているように思います。
というよりも今や、世界中で、これまで異常気象と呼ばれていたものが平常になってしまっていて、日本においては「我が国には四季がある」というこれまでの常識が非常識化しつつあります。ファッションというものは季節の変化を前提とし、それを楽しむものだったのに、今や、防暑、防寒のプレゼンスがファッションの世界で非常に大きくなっていますよね。
その辺にいち早く目をつけてリードしているのは、ご存じユニクロです。ユニクロはエアリズムやヒートテックなど高機能衣料を通じて世の中に快適を提供してくれていると言ってもいいかもしれません。そしてユニクロ衣料の機能を知ってしまうと、「おしゃれだからこれを着る」には、もうなかなか戻れないものです。人間ラク、というか、コンフォータプルが一番ですから。
私は今、お客さんに会うときでも感動パンツ一択です。もはやサマーウールのスラックスはもちろん綿のスラックスさえ履きたくないです(カジュアル時は当然短パン)。
感動パンツは、よく指摘されるようにネーミングはアレですけど、めちゃラクで涼しいですから。そして世の中全体がカジュアル化しているので、感動パンツの類でお客さんのところに行ってもまったく問題なくなっています。この辺は業種によって違うのでしょうが。ただ、もうスーツの生地の番手がどうの、みたいな世の中ではなくなってます。
さらに、必要な時以外に革靴を履くこともまったくなくなりました。それこそ学生さんのポンプフューリーじゃないですけど、厚底系スニーカーがラクでいいです。いざというときに長い距離を歩けるのも大きいです。こういうのも、災害がいつ起こるかわからない今の日本では必要な「ファッション」に対する考え方だと思います。
そういえば断酒友のぽんちゃんも、もう数十年前からエアマックスしか履いていません。エアマックスは、盗難事件が起きるほど流行したり、その後、時代遅れになったり、また復活したりで、世間の評価は変遷はなはだしいものがありますが、彼は一貫してエアマックスです。酒飲みでいえば、「キリンラガーしか飲まん」という頑固ジジイみたいなもんです。
このことに象徴されるように、一度自分の足に合ったスニーカーを見つけてしまうともうそれしか履きたくなくなるのは事実です。おそらくニューバランスの996も、その点をもってしてユーザーをがっちり捕まえちゃったのでしょう。ポルシェのほうの996はポルシェ911の中でも際立って不人気のようですが(笑)。
今を快適に生きてこそ未来が拓けるのだ
ともあれ、どんどん機能改良している、どんどんコンフォータプルになっている昨今の衣料と対極の位置にあるジーンズが敬遠されても当然だと思います。もちろんジーンズとて登場当初は機能衣料の最たるものだったのでしょうが、今の日本にはガラガラ蛇はいませんしね。
さて、こんなふうに楽チン快適の方向に向けて衣料はどんどん進化していて、それは実はメンタリティの部分にも及んでいます。服飾関係に限らず嫌なこと、快適でないことはしなくていい、そのほうが自分の人生にとって建設的であるということが、だんだん世の常識になっています。それは我慢に対する対価が、社会構造、就労構造の変化とともにものすごーく小さくなっていることと表裏一体を成しています。
といったことを書きだすと長くなってしまうので、別の機会に譲りたいのですが、もう人生は、「キャリーザットウエイト」@ビートルズ(YouTube)じゃないですし、「人の一生は重き荷を負うて遠き道をゆくがごとし」@徳川家康でもないですよ。
そして、いかにウエイトや重き荷を感じることなく、ストレスなく生きるかが重要な今、酒を飲むのはどんなもんよ、ということを提議したいのであります(笑)。
もちろん飲んでいるときは楽しいのでしょうが(いや、楽しくて仕方ないのですが)、ただいつも書いてますけれども飲むにあたってのリスクマネジメントや飲んだ後の身体的精神的重さなどは、快適とは程遠いものです。
もちろんそんなことはお前なんかに言われなくてもわかってるわいでしょうけれども、あえて断酒者の立場から言わせていただければ、なんだか酒やめてから人生軽いです。ものすごーくすっきりしてる感じがします。ストレスも圧倒的に減りました。これはジーンズではなく感動パンツの軽さ快適さに通じるものなのです。
断酒は快適に生きることにもつながってるんだなあと、あらためて実感する今日この頃でありますよ。