酒やめて、1111日。
ちょうど100日前にも話題にした朝ドラ『スカーレット』ですが(参考「酒は、クズ親のアイコンか?」)、新たな展開をみせています。ヒロインの喜美ちゃんが、一度は離れた夫とよりを戻すのではという疑惑と期待があります。そしてそのベースには、子どもも独立し母親にも死なれ寂しいという感情があるようなのです。
あの喜美ちゃんが酒飲んでべろべろになるとは……
それで喜美ちゃんは酒を飲み、べろべろになり、生まれてはじめて二日酔いを経験しますが、これも実に象徴的です。
で、ですね、この寂しいという感情は本当に厄介です。人にふりかかるすべての災厄は「寂しい」から来ているといってもいいのではないでしょうか。喜美ちゃんがこれからどうなるかは知りませんけど。
金持ちの老人が若いお姉ちゃんに騙されて根こそぎ持っていかれたりするのも、だいたい「寂しい」ベースです。あるいは間違った結婚をしてしまうのも、やっぱり「寂しい」が根っこの部分にあると思います。結婚について若干言わせていただければ、婚活だとかで時間を区切ってそれをタスクにしてしまうと、本当に相性がいい人にめぐり逢えることはまれだと思うのですが、それでも無理やり(?)みんなくっついてしまうのは、やっぱり寂しいベースなのでしょう(まったくもって余計なお世話です。すみません)。
昔は見合結婚が当たり前で案外それが上手くいっていたように見えたのは、この寂しいベースがあったにせよ、それが家父長制度と融合し問題点がなかなか表面化しなかったからでしょう。ところが今は圧倒的に自由で、社会規範に縛られません。にもかかわらず、寂しいベースだけがそのままだから問題が顕在化するのかもしれませんね。
酒やめるとさびしくなくなるんですよ! 不思議なことに
らしくもない小難しいことを書き連ねてきましたが、結婚に限らず、まあ要は寂しいから人間は要らんことをしてしまうということですね。小はSNSでやらかしてしまうことから、大は酒の飲み過ぎでアル中になることも、あるいは間違った結婚をしてしまうことも含めて、やはり寂しいがゆえでしょう。
かくいう私は、もう子どもは独立しましたし妻はとおの昔にいませんから、まったくひとりです。友だちももともと少ないし(笑)。これで酒を飲んでいたら、やはり寂しいベースで死にたくなっていたかもしれません。実際一人暮らしの酒飲みたちは、よく電話をかけてきたりメールをしてきたりしますもんね。正直いうとうざいです。だって今の私は別に寂しくないですから。
酒をやめるとですね、このすべての災厄の要因になる(と思われる)「寂しい」が、不思議に消えてしまうのです。これも脳の変容でしょうか。気持ちが前向きになるから寂しいと感じている暇もないというのが正直なところかもしれません。かっこつけて言えば、ですけど。
ともあれ、「老いる」とは、周りの人をだんだん失うことでもあり、寂しさとの戦いでもあります。それに打ち勝つというか共存していくためには、やはり酒を飲まないことが一番の武器になるんじゃないかと。
人生寂しくて仕方ない人ほど、酒をやめると新しい展開が待っていると思いますよー(←余計なお世話)。