酒やめて、3169日
精神科入院がセイフティネットでなくなる!?
先週号(10月3日号)の『週刊ポスト』に、『「老人ホーム出て行ってください」その時どうする?』といった記事がありました。実際、親を老人ホームに預けている身としては、この手のことは実感しています。
ホームでは基本的には酒はNGであり、なぜなら集団生活であるからです。誰でも加齢とともに認知症的な傾向が出てきますが、飲酒するとそれに輪がかかってトラブルを起こす可能性が高くなり、それはホームという集団生活の中で最も嫌われるところであります。
なので、ホームに預ける家族としては、追い出される……というと語弊があるけれども、この辺が一番恐ろしいところであると以前も書かせていただいております(参考「「俺も飲まないから」最強説」)。
もし追い出された場合、どこに行くかというと精神科に入院するわけですよ。私はそれは避けたいと思っています。
この精神科は、日本における高齢化が行きつくところの最後のセイフティネットになっている側面があります。しかしながら、だんだんそうではなくなっているというから剣呑です。
ちょっと前ですが「精神疾患入院患者、75歳以上が44% 退院支援を検討〈厚労省〉」といったニュースを見ました。この場合、最終的には家族で面倒をみてくださいということで、おそらく認知症も今後はそうなるでしょう。そうすると、どこにも引き取り手のない老人が世の中に溢れ、これはディストピア以外の何者でもない。本人にとっても家族にとっても。
「飲まない」理由が変容してきた!?
そうした中、これからその「本人」に成る身としてはどうすればいいかというと、とりあえず脳の機能を衰えさせない、なるべく自宅で暮らせるようにするということで、やっぱり酒を飲まないという結論に達します。これは断酒er理屈でもなんでもなく、まったくの真実でしょう。
いや、むろん認知症の原因は酒だけではないのですが、ただ加速させることが明らかな以上、飲まないというのは唯一にして強力な対抗手段です。
これまでは飲まない理由として、健康のためだとか、一生仕事を続けるためといったことが挙げられてきましたが、それを超えて、「ディストピアの中で生き抜いていくため」というふうにもなっていく。この意味は存外、大きいと考えます。
結局のところ、現在における人間の平均寿命と酒を楽しく飲める期間は、明らかにミスマッチを起こしているのですよ。一生、楽しく飲める、そして脳も加齢分を超えて劣化しない、なんてことは「ない」と考えていい。まあ「オレは違う」論の信奉者も多いですが(参考「本当に怖いのは、酒による人格魔改造だ」)。そこがやはり酒さんの怖ろしいところで。
ともあれ、早めにその酒さんと訣別して飲まないという習慣を手に入れる。繰り返しますが、それが、今後到来するであろうディストピアを生き抜くための手段ではあることは確かでしょう。
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