酒やめて、2862日
円で給料をもらうのが「怖い」!?
ちょっと前に「メディアの逆張りをすれば人生上手くいく説。えーと、酒についてはどうだったかな?」という話を書かせていただきました。メディアの偏向ぶりがここに来てあまりにもあからさまになっていて、それはメディアの終焉であると同時に日本の終焉であるようにも見えます。
実際のところ、前出のエントリでも触れましたが、どう考えても全現役労働者のためとなり、なおかつ可処分所得が増えることで経済も活性化するであろう「103万円の壁壊し」について、メディアでは懐疑的な意見も見られますし、少なくとももろ手を挙げて賛成というわけではありません。
おいおい、君たちは常々「庶民の暮らしガー」と叫んでいたのではないのかい、と思ってしまいますよ。それが財務省と結託して(?)庶民の敵になるといった、なんというか非常に気持ちの悪い現象が現出しています。
だから、ほんとに日本は終わってしまうのかなあとも思いますよ。トランプさんが世界に大きな「物語」をもたらそうとしているときに、あいも変わらず「政治と金ガー」ですもんね。
先日、30代の公務員とちょっと話す機会があったのですが、やっぱり円で給料をもらっていること自体が怖いと言っていました。リスクがあるとかソンだとかを超えて「怖い」です。円という日本の通貨が弱くなっているだけじゃなく、給与水準も先進国のなかで際立って低くなっている。そういう日本の社会に所属依存している「怖さ」です。日本の場合、公務員の優遇度合いが他の先進国に比べて高いとされてますが、その公務員でさえそうです。いわんや民間においてをや、ですよね。
大昔、バングルスは
All the Japanese with their yen
と唄っていましたが、そこから考えると隔世の感です(この歌詞が含まれるWalk like Egyptianは1986年のヒット曲)。
稼げばいい、では、稼げなくなると即、詰んでしまう
行き過ぎたシルバーポピュリズムで、特定世代が美味しいところを美味しくいただいちゃった結果、日本が泥沼に沈もうとしている。それに引きずり込まれていくことに対して、若い人たちは本能的な恐怖を抱いているという構図があります。
ただしその公務員は、前澤さんのカブアンドは日本を大きく変える力になるかもしれないと言っていて、ジジイとしては頼もしくも感じられました。
しかしながら、そうした「物語」について「少しでもいかがわしさが見えると、物語の芽を摘んでしまう」と、以前このブログで取り上げたことがある岸博幸さん(参考「「余命10年」と規定するとすべての行動が変わってくるよね。むろん酒は飲みません」)が『GOETHE』12月号誌上でおっしゃってました。その伝でいくと、カブアンドもいかにもいかがわしい。以前、前澤さんが着手していた(今もやっているのかもしれんが)ZOZOスーツによる全ユーザーのサイズ一元管理も「物語」づくりだったのかもしれませんが、「芽が摘まれた」感もあります。
なので、ここまで書き連ねてきたように、とくに若い人にとっては、日本はその能力を託すに値しない存在になりつつある。
日本で一番たくさん東大に合格させている中高の前校長先生が、東大じゃなく海外の一流大学を目指せと言ったことも以前話題になりましたし、また秀才高校生が、東大に行って官僚や科学者になるのではなく、医学部から医師を目指す、すなわち若い秀才が医の分野にばかり集中するパターンが顕著であることも、日本における構造的な怖さでありましょう。
まあしかし、若い秀才には、いろいろ方法がありますよ。香港の秀才がアメリカにこぞって逃げたような実例もありますし。若さと頭の良さがあればなんとでもなる。問題は、その二つとも当然のように持ち合わせていない私のようなジジイであります。いや、本格的なジジイ(団塊の世代より上)はシルバーポピュリズムの恩恵を受けていますので、ヤバいのは、ジジイに片足突っ込んだ世代、すなわちスザンナ・ホフスの流し目(下写真参照)にノックアウトされていた(←死語)バングルス世代(?)以降です。
スザンヌ・ホフスさんは今でも美魔女なのですが、それはともかく、ジジイとしてはどげんかこげんかせんといかん。
で、これはですね、私見を言わせていただければ、もう書類上の弱者になるのが一番簡単です。すなわち、税制面で優遇されたり、なんらかのかたちで役所から援助される体制をつくってしまうのですよ(億の資産を持ちながら所得は国民年金だけであるため、医療費負担や社会保障で恩恵を受けている高齢者も「書類上の弱者」です)。
その方法というのは以前も書かせていただきましが(参考「夢の住民税非課税世帯を実現するためにはどうしたらいいか。もちろん酒飲まないことが大前提なんですが」)、そうしたマネーリテラシーのようなものが人生を決めるようになってしまっている。この五公五民の世の中において、では、です。
たとえばiDeCoなんていうシステムは、控除を受けながら貯蓄するのも同然ですから(貰うときに収入になってしまうとはいえ)、五公五民の世の中で、貯蓄をしながら手取り額アップできます。
今までは、組織が全部やってくれていたんだから、稼げばいいんだろう、仕事をすればいいんだろうという論理が通用していました。現にそういう人はいまだにいますが、加齢とともに稼げなくなると、即、詰みです。
むろん飲酒時代の私も、いわゆるマネーリテラシーみたいなものとはまったく無縁でした。酒を飲んでいると、社会情勢を見つつ、ではどのようにすれば良いかということが考えられなくなってしまう。それよりも仕事を必死でする方がラクというか、それしかなくなってしまう。仕事以外の余力を、脳に求めることができないのです。
繰り返しますが、今まではそれでもよかった。私の場合、フリーランスが長いので、働いている人とは異なり「それでよかった」では済まないのですが、元妻がいろいろやっていてくれたので助かっている部分もありますが、それはたまたまです。
ともあれ、酒をやめるとそうしたことを考える時間が多くなるのもメリット……を超えて、もはやサバイバル条件なのかなあと、昨今の日本の状況を見るにつけ考える次第であります。
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