酒やめて、１８３６日。
酒厳禁とされるドーハで酒飲むには？
冒険紀行作家の高野秀行さんの著作『イスラム飲酒紀行』に、酒で不安を紛らわす件が出てきます。航空券に関して下手を打ってしまい、渡航先で３０万円以上の出費を余儀なくされるかもしれない、ということでパニックに陥り、酒を飲みたくなるというものです。
売れっ子作家である高野さんが３０万でパニックになるというのも腑に落ちないところではありますが、もちろん話を面白くしているのでしょう。
いや、それにしても、これはまったくもってホントによくわかりますよ。そうした直近の不安をごまかすにあたって酒はもってこいです。飲酒ブログでこんなこと言っちゃいかんのですけれども、まさにその通りであります。
で、高野さんの場合、最終渡航先はセイシェルなのですが、とりあえずカタールのドーハを経由する、と。
なにしろドーハなので、高野さんは巧妙に（？）伏線が張ります。イスラム圏の飲酒事情について丁寧に説明していくのですね。カタールなどのいわゆるアラブのイスラムの国は飲酒絶対ダメ～！という「常識」がありますけれども、いやそれは「公」の場だけでして、みたいなことを述べていくわけです。
そして高野さんは、世界でもっとも酒に厳しいと言っていいかもしれないアラブの国、その空港のトイレの個室（たしかに「公」外ではありますが）で赤ワインをラッパ飲みするに至ります。
これもねー、この本を読んだのは飲酒時代でしたから、もうめっちゃわかりすぎて「ほんそれ」を１００回ぐらい言ってしまいそうでした。
私なども、もちろん立場は違いますけれども、入金の不安などがあった場合、やっぱりこのような「思わず飲んでしまう」をやってました。この日までに入金がないと、いろいろ支払い的にまずい。たとえば携帯電話が止められそう……みたいな状況があったのですよ、恥ずかしながら。でもって、入金が遅れている客先に電話すると担当者がいなかったりして、まったくこいつら払う気ゼロなんじゃなかろうかみたいな疑心暗鬼が湧いてくるのです。そうするとやっぱり酒に目がいってしまいます。そして直近の不安を紛らわすことになります。
直近の不安を「楽観」で乗り切っていくと将来的な不安も解消！？
繰り返しますが、直近の不安をとりあえず紛らわす（だけ）には、酒は非常に有効です。そして、将来的な不安に関しても有効のように思えてしまいます。というか、ここに来て、酒さんはそこのところに大きく踏み込んでいるようです。一人飲みが多くなっているという、昨今の飲酒事情もあるのでしょう。ストロングゼロに関するこの画が非常に有名ですよね。
で、結局のところ酒をやめるとは、この画のまったく間逆をやろうということであり、それは「できる」と断言してもいいと考えます。この画そのものだった私が言うのだから間違いないと思われます。
というのは、酒をやめるとは、将来的な不安に対処する武器を手に入れることだからです。その武器はある意味、酒よりも有能です。酒も、何度もすみませんが直近の不安に対しては有能かもしれませんが、この画のような将来的な不安には無力であるばかりか足を引っ張ることはご存じの通りです。
その点、これから紹介する武器は、直近の不安にも実は酒以上に有能です。つまり、酒やめると、直近・将来双方の不安に非常に使い勝手の良い武器を手に入れるいうことになります。
それは、もったいぶってしまいましたが、そしていつも書いていますが、諦観ベースの楽観ですね。他人には期待しないこと、それを大前提とした楽観です。
直近の不安に関しては、とりあえず最悪のケースを想定して、その対処プランを、自分でできることだけを前提として立てておき、後はもう自分がやるべきことをやったそれでよかろうもんという開き直りがあれば、結構楽観できたりするのですね。この辺はなかなか私の文章力では説明するのが難しいのですが、人事を尽くして天命を待つという言葉の意味が酒をやめるとわかってくるわけで。
そして重要と思われるのは、その直近の不安に対する楽観対処経験を重ねていると、今度は上の画で示された将来的な不安に対しても、なんとかなるやろという楽観が生まれてくる、という感じですかね。このあたりは不思議なところではありますが、断酒友もこのことについて以前書いています。前にも引用しましたが、再掲させていただきます。
そのうつ、正体はアルコールかも？（「パンとアイドル、時々コスメ」）
ここに登場する断酒友の友人の場合、もともと酒を飲まない方ですが、我々のように、酒を飲んで散々痛い目にあった上で、この境地に到達すると、ある意味、最初から飲まない人より上、というと傲慢ですが、そういう断酒者特権もまた得られるようにも思うのです。身勝手な理屈すまぬですが。
カテゴリ別インデックスページはこちらです。
