酒やめたら、先送り体質が劇的に改善された件。

酒やめて、1149日。

数日前に引用させていただいた景山民夫作品『トラブルバスター』ですが、引用したついでに再読してみると(ありがちなことですが)、またしても印象的なシーンに出くわしました(笑)。

酒に目が行くと、やろうと思っていたこともできなくなる!

主人公であり探偵役の宇賀神邦彦が、別れた妻である桔梗の実家の窮地を救うために、小田原(宇賀神が住んでいるのは池尻大橋)まで出かけて地回りヤクザを捕まえようと計画するのですが、サイドボードの上のオールドパーに目がいって、やめてしまったという箇所があります。

これもねえ、ものすごーくよくわかる、わかりすぎて生きているのがつらくなるほどです(笑)。

宇賀神はそのとき、夕方からもう一仕事するか、酒を飲むかの選択に迫られるわけです。で、酒を選んでしまうのですよ。いかに別れた妻のこととはいえ、酒優先になってしまいます。

つまりですね、すべてが先送りになってしまうんです。飲酒習慣があると。

もう一つトラブルバスターシリーズには非常に印象的かつ示唆的なシーンがあります。書き下ろし長編第一弾の『トラブルバスター・国境の南』ですが、以下のような一幕です。

ジャック・ダニエルスをストレートで二杯ひっかけ、それで頭が少しばかりシャッキリしたので、今日一日の出来ことを振り返る気分になった。

このとき、宇賀神はやる気を掘り起こすために酒を必要とし酒を呷ります。そして以下のように続きます。

が、三杯目を半分まで干したら、それもどうやら明日やればよいことなのではないか、という風に思えてきた。心の中の、今日中にやる仕事のファイルから、明日の分の仕事ファイルへと、メモ用紙が移動したというわけだ。

飲んでしまうと、もうそのやる気がなくなるのです。その間、ジャック・ダニエルスにして「一杯半」でしかありません。

何か積極的なことを成そうと思うと酒の力が必要であり、これは酒のアップ効果ですね、でもそのアップ効果の持続時間はわずか「一杯半」ときわめて短く、やがてダウン効果がやってきてやる気がなくなるというパターンです。

酒飲まなかった頃からの宿痾さえ治してしまう断酒力!

このブログでも繰り返し訴求(?)している通り、酒というのはね、もう本当にそういうやつなんですよ。勇気をふりしぼって何かやろうというときに、わいの力が必要やろ、と囁いて近づいてきて、そしてすぐにそのやる気を奪ってしまうのですね。本当に悪質です。

ですから、酒を飲む習慣があると「先送り体質」になります。私などは酒を飲む習慣がなかった高校生の頃(少し飲んでましたけど)から、宿題などに関しては当然のように先送り体質で、教師から責め立てられていたのですが、そうした素養があったところに酒によってますます拍車がかかったという感じです。威張ることじゃありませんが。

で、大人になってからの「先送り」は、宿題などとは違って致命傷になりがちです。ですから人生を悪い方向へどんどん導いていく。酒を飲むとどうしても明日やろう明日やろうになり、その明日やろうが澱となって人生の底に溜まり、人生のスムーズな流れを阻止するという構図ですよね。

それが酒をやめてからというもの、人生のタスクとやらをわりにサクサクこなせるようになったと思いますねー。いつも書いてることですが、酒飲まないと膨大に時間が余るので、じゃあその人生のタスク――それは仕事であったり生活にまつわることだったりさまざまですが――をやってしまおうかという気になるのです。やりたくないからといって逃げ込む先もないのでやらざるを得ない。で、やってみると、案外そんなに大したことじゃないんだよなというケースが非常に多いのです。なおかつ、こちらとしては酒を飲んでないという圧倒的なセルフエスティームがあるので、対人折衝なども別にへいちゃらのちゃらです(参考「セルフエスティームをアップさせるための、一番簡単な方法」)。

さらに、すべての行動が酒を飲んでない頭で考え判断したことですので、たとえ結果が悪くても全然後悔しない。後悔しないことがわかっているので思い切った行動に出る気にもなれます。

ともあれ、酒を飲まなかった若い頃でも先送り体質だったところ、酒をやめてからというものその若い頃からの宿痾が治ってしまったということで、これは元に戻ったではなくステップアップしたということです。やっぱり断酒の力はすごいですわ(笑)。

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