酒やめて、3218日

「怒り上戸」だと、それがやがて当たり前になる
世の中には「怒りっぽい人」という属性(?)があります。病院や役所で、やたら怒鳴っている高齢者がいますけれども、自分が置かれている状況に腹を立てなければ気が済まないというパターンですよね。
そういえば先日、ユニクロ感謝祭に行ったのですが、レジで行列ができており、なんでこんなに並んでるんだと怒っている爺様もいらっしゃいました。状況を受け入れ、粛々と物事をこなすことができないのです。
と、まあ他人事のように書いてしまいましたが、飲酒時代の私もまさしくそうでした。飲酒時代はさすがに年齢的に「爺様」というわけではなかったので、加齢による脳の萎縮で怒りっぽくなるのではなく、酒さんがそう仕向けていたものと思われます。
酒の脳への影響は、二つに分けて考えなければいけないですね。まず、酒を飲んで怒りっぽくなるという状況。アルコールの覚醒作用で、前頭前皮質が保つべき理性のブレーキが効かず、普段なら我慢できる小さなイライラが爆発しやすくなる。いわゆる「怒り上戸」です(むろん「泣き上戸」「笑い上戸」といったバージョンもあるが、おっさんの場合、「怒り」バージョンが圧倒的に多い)。そしてもう一つは、そうしたことを繰り返しているうちに「怒りっぽい」が人格として固定されてしまうことです。いつも書いていて恐縮ですが、酒さんは脳を魔改造するわけです。
調べてみると、10年以上、毎日日本酒換算で3合以上飲んでいると、普段から怒りっぽい性格に変わっていくといいます。セロトニン受容体の感受性が低下して慢性的なセロトニン機能低下状態に陥り、そうすると衝動制御ができなるというメカニズムらしいです。また酒によって肝機能が低下すると、ストレスホルモン(コルチゾール)が高値になりやすく常にイライラしやすい体質になるといいます。「酒による人格魔改造」は、まさに物理的、医学的なものです。
テロメアをからめて考えると、酒の恐ろしさがわかる
さて、ここでテロメアという物質の話をしたいのですが、染色体の末端を保護する構造で、細胞分裂のたびに短くなることから細胞の寿命を示すものです。このテロメアの長さが健康寿命、あるいは見た目年齢の若さを決めるということは、最近ではよく知られるようになりました。
で、「怒る」という行為もテロメアを短くします。人間、怒る度に、老けていっているということですよ。
つまり、酒によって人格魔改造されていると、必然的にそういう機会が多くなり、その度にテロメアが短くなってしまう。こりゃ、タコが自分の足を食べるみたいなもんで、ヒジョーに恐ろしいことかと。
だから当然ながら怒りっぽい気質から脱する必要があり、これには酒をやめるのが一番ということになります。あと重要なのは、怒る要素、たとえば人間関係などを排除する必要があり、これまた酒を飲まないとしやすいということはいつも書かせていただいている通りです。
裏を返せば、酒さんは物理(医学)的にも社会的にも、いわばダブルで「怒り」を呼び込んでしまう存在であると主張したいのでありました。
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