酒やめて、2702日
なぜ、青春18きっぷ廃止が噂されるのか
今夏も無事、青春18きっぷが発売されることとなりました。しかし発売告知が例年に比べ大幅に遅れてファンをやきもきさせ、廃止もまことしやかに囁かれました。X上でもかなり長い間、トレンドワードになっていましたし。
ただ、この夏の危機(?)は乗り切りましたが、いつ廃止されてもおかしくない状況ではあるようです。それには、そもそも18きっぷが発売されたときの目的、すなわち国鉄時代の閑散期の余剰輸送力対策ということとと現在のJR各社の実態が大きくかけ離れている(今は輸送適正化が達成されている)ことが前提としてあるでしょうし、新幹線開業によって在来線代替の第3セクターが増え、第3セクター鉄道には青春18きっぷでは乗れず、しかし例外もあったりして運用が複雑化しているということもあるでしょう。
さて、よく知られているように青春18きっぷは別に青春じゃなくても使えるので、私も年3回発売のうち2回程度は購入していわゆる18旅を楽しんでいました。18きっぷのいいところは、購入した時点で別に使う予定がなくても、なんというか心に翼を授かったような、Red Bull状態になれることです。18きっぷが手元にあるだけでワクワクしてきます。そりゃそうですよ。だって12050円という値段で購入すれば、5日間は元手なしで旅ができるのですから、この自由な感じは半端ないです。宿泊費についても、インバウンド増加に伴いビジホの類の料金は爆上がりする一方、今は18キッパーおよび貧乏旅人が「実家」と呼ぶ快活CLUBの存在が大きく、それを考慮に入れるとRed Bull状態がさらに嵩じます。
とくに夏の18きっぷは特別感が割増で、たとえばTIFやコミケなどに18きっぷを使って出かける人は、18きっぷを買う時点からそのフェスに参加しているという意識が濃厚であると思われます。そうした夏のフェスと分かちがたく結びつき、文化になっている点も特徴でしょう。大昔のヒッピーたちがヒッチハイクなどをしながら気ままに旅をし、ウッドストックフェスの会場にたどり着いたのと似ています(よー知らんけど)。
カスハラと悪しき因縁で結ばれている酒さんの立場は?
さて、この18きっぷの「廃止の噂」に関連してX上では社員対策なのではないかという意見があり、卓見だと思いました。つまり、前述のように運用が複雑化している中でカスハラ的な行為を働く18キッパーもいて、省力化とあいまってそれに現場が疲弊しているというのですね。なるほどなあ、ですよ。
日本の企業という存在は、もともとは従業員を大切にしてきました。お客様は神様ではあったけれども、従業員も待遇面では厚遇していました(賃金そのものは安くても一生面倒みるなど)。ただしそれが新自由主義以降、従業員よりも株主というふうにパラダイム転換が起こったわけですよね。超絶ざっくり言えば。ただし一方で「お客様は神様」文化は生き続けた。すなわち待遇が悪いのにお客様も神様にしなければいけない。ということでサービス業に人が集まらなくなるのは当然と言えば当然の流れだったのでしょう。
そして今、そうした人手不足を背景に「人を大切にする」ということが、企業価値を決める大きな要因になってきている。一周回ったわけですよ。そこまで30年かかってしまった。SDGsなんかよりもこっちが先だったと思いますが。
で、インフラ産業であるけれど当然ながらサービス業の側面も有しており、また日本を代表する企業でもあるJRは、そうした旧くて新しい企業文化を率先してけん引しなければならない立場にある、と。上場4社(東日本・東海・西日本・九州)はとくにそうで、素人がこういうことをいうのもナンですが「人を大切にする」ことがステークホルダーの利益にもつながるようになりつつある。ここに至って、株主の利益と、従業員の利益が一致したわけですよね。
そうした中でカスハラの要因になる青春18きっぷは企業戦略とバッティングする、だから排除していこうという流れになるのではないか、と思います。
でもって、カスハラといえば酒さんでございますよ。日本には酒の上の無礼講文化があったところ、そうしたことが許されないコンプライアンスの高い世の中になり、カスハラから従業員を守っていこうという流れになっている。いや、守る組織と守らない組織に分化している。そして守る組織が評価され、それが株価がなどにも結びつくという構造なのでしょう。
でもって、まあ毎度毎度の断酒er理論ですが、そのような世の中で、酒さんの立場も当然のことながら悪くなり、したがって「酒飲んでないのUp to Dateじゃね」と身勝手な思いを強くするのでございます。
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